【11月16日 AFP】英エネルギー大手BPは15日、2010年に起きたメキシコ湾(Gulf of Mexico)の原油流出事故での過失を認め、米国では記録的な額となる45億ドル(約3650億円)の罰金を米当局に支払うことで合意したと発表した。

 2010年4月20日にBPの石油掘削施設「ディープウォーター・ホライゾン(Deepwater Horizon)」で起きた爆発事故では、BPの現場監督者2人が十分な事故防止努力をしなかったことよる過失致死罪に問われたほか、石油流出量について虚偽の報告をしたとして元役員1人が司法妨害罪に問われていた。

 海面から1500メートルの深さにあるマコンド(Macondo)油井からは、原油流出が止まるまでの87日間に約490万バレルの原油がメキシコ湾に流出し、米5州の海岸を黒く染めた。BPの評価を地に落としたこの事故は、石油業界史上最大の海洋流出事故であるとともに、米国史上最悪の環境汚染を引き起こした。

 エリック・ホルダー(Eric Holder)米司法長官は、事故の刑事責任を問われる関係者は今後増える可能性もあり、米政府とBPとの法廷闘争は終わるにはほど遠いとし、「来年2月に始まる予定の裁判でわれわれは、原油流出の原因にBPの重大な過失があったことを証明するつもりだ」と述べた。BP側は「まだ終わっていない民事訴訟の全てで徹底的に抗弁し、(BPに)重大な過失があったという主張と争っていく」と述べた。

 今回合意した巨額の罰金の支払いは6年間かけて行われるが、BPにとって大きな負担にはならないとみられている。BPの時価総額は1270億ドル(約10兆3000億円)で、2012年第3四半期決算で54億3000万ドル(約4400億円)の利益を計上したことに伴い、10月には株主への配当を引き上げている。

 今回の発表について国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)のシニアインベスティゲーター、マーク・フローゲル(Mark Floegel)氏は、「BPのような大企業にとって、この罰金は丸め誤差にしかならない」と述べ、罰金の額が不十分だと批判した。(c)AFP/Chantal Valery