【9月27日 AFP】インドネシア・スマトラ(Sumatra)島沖で今年4月11日に発生した大地震は、「横ずれ型」地震としては観測史上最大で、インド洋の海底下にある巨大プレート(岩板)が2つに分裂しつつあるとの説を裏付ける証拠だとする分析結果が、26日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 米ユタ大学(University of Utah)のキース・コーパー(Keith Koper)准教授とカリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)のソーン・レイ(Thorne Lay)教授は、4月のスマトラ島沖地震の規模や発生地点を詳しく分析。当初はモーメントマグニチュード(Mw)8.6とされていた地震の規模が、Mw8.7だったとの結論に至った。解放されたひずみエネルギーの大きさは、当初の推測より40%も大きかったという。

 これは横ずれ断層型地震としては観測史上最大で、他の断層型地震を合わせても過去100年間で10番目の規模だという。

 これほどの大地震は通常、プレートの沈み込み帯でプレートが縦方向にずれて発生し、津波を引き起こす。やはりスマトラ島沖で2004年に起きた大地震ではインド洋大津波が生じ、多数の犠牲者を出した。だが、今年4月の地震では2時間後にもMw8.2の地震が起きたが、いずれもプレートが横方向にずれたため津波は起きず、震源がインド洋海底下だったこともあって死者は10人と少なかった。

■インド洋下の岩板に巨大な割れ目

 今年の地震の発生経緯の詳細分析によれば、積み重なり互い違いに交わった少なくとも4つの断層が、ほぼ同時にずれたと考えられる。これらの断層では「雁行(がんこう)割れ目」と呼ばれる多数の割れ目が生じ、2分40秒間に次々と裂けたとみられる。

 さらに大きな発見は、この割れ目の生じた地点が地球をジグソーパズルのように覆うプレートとプレートの境界ではなく、インド・オーストラリアプレートの真ん中だった点だ。地震によりできた割れ目は最大で幅40メートルで、研究チームでは、これこそインド・オーストラリアプレート分裂説を裏付ける証拠だとみている。

 インド・オーストラリアプレート分裂説は長く唱えられてきた。同説によれば、プレートは数百万年前から分裂し始め、西側の部分はユーラシアプレートに衝突して止まったが、東側部分はスマトラ島の下に沈み込み続けているとされる。(c)AFP