【8月30日 AFP】 内閣府は29日、東海沖から四国沖の「南海トラフ」沿いで巨大地震が発生した場合、最大で32万人以上が死亡するとの推計を発表した。

 発表された内容は、冬の深夜に南海トラフ沿いで東日本大震災と同規模のマグニチュード(M)9.0クラスの巨大地震発生を想定したものとなっており、強風で勢いを増した最大34メートルの津波が太平洋岸を襲い、寝静まっていた人々が逃げ遅れるという条件下では最悪のシナリオになるとした。

 死者の大半として試算されているのは津波による犠牲者で、その他多くは倒壊物の下敷きになったり、地震で発生する火災で亡くなるとしている。

 2003年の推計では死者は約2万5000人とされていたが、この推計はM8.4の地震がもっと狭い範囲で起こった場合を想定していた。

 今回の報告書には最悪のシナリオを示すと同時に、国や自治体に防災対策の強化を促す狙いがある。

 2011年3月11日午後に起きた東日本大震災では、津波の高さは20メートルを記録し、死者・行方不明者は約1万9000人に上った。津波が直撃した福島第1原子力発電所では炉心溶融 (メルトダウン)が発生し、過去最悪に数えられる原発事故を引き起こした。

 日本の観測史上最大の死者を出した地震は、1923年の関東大震災。この時の地震では10万人以上が亡くなった。(c)AFP