【6月10日 AFP】東日本大震災の巨大津波によって流された約20メートルの浮桟橋が、1年3か月をかけて5日、約8800キロ離れた米西海岸のオレゴン(Oregon)州に漂着したが、地元当局は集まった見物人たちに日本の悲劇に思いを馳せるよう呼び掛けている。

 ポートランド(Portland)南西約160キロに位置するニューポート(Newport)近郊の浜辺に太平洋を越えて流れ着いた浮桟橋は、長さ約20メートル、幅約6メートル、高さ約2メートル。「2008年6月」と書かれた金属板があり、青森県三沢港の浮桟橋だったことが確認された。

 オレゴン州公園レクリエーション局は見物人たちに、干潮の時に訪れる、交通渋滞を覚悟する、高波に気をつけて桟橋には近づかないなどといった注意を発している。また「オレゴンの岸にこの『客人』をもたらすきっかけとなった悲劇に思いを馳せてほしい」と呼び掛けている。

 同局は浮桟橋の処分のために公開入札を行う予定だが、現場で処分するか、近くの漁港までえい航するかは決まっていない。

 福島第1原発の事故による放射能汚染を警戒して、同局では浮桟橋の検査も行ったが、放射能は検出されなかった。また7日には、日本からの外来生物によって地元生態系が破壊されることのないよう予防措置として、約10人ほどの作業チームが浮桟橋にからまったり付着した海藻やフジツボなどの海洋生物を除去し、火炎消毒した。

 米国およびカナダの西海岸には最近になって、東日本大震災の津波によって流されたがれきが漂着し始めている。専門家らは今後数か月間続くと予想している。(c)AFP

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