【2月16日 AFP】東日本大震災以降、東京電力(TEPCO)の福島第1原子力発電所付近の地層において、大地震が発生しやすい状態となっていると指摘する東北大学(Tohoku University)の教授らによる研究論文が14日、欧州地球科学連合(European Geosciences UnionEGU)の学術誌『Solid Earth』で発表された。

 趙大鵬(Zhao Dapeng)教授(地震学)ら日中の研究者3人が共同執筆した論文は、将来起こりうる大規模地震に備え、福島第1原発での安全強化策をとるよう訴えている。

 趙教授らは、地震波断層撮影と呼ばれる技術を用い、東北地方の地殻やマントルに地震波が及ぼす影響を調べた。この技術は、医療用のCTスキャンと同様の原理で地層を調べ、地震波の種類やセンサー間を伝わる速度から地中の断面図を構築する。 

 研究チームは、前年4月11日に福島第1原発から南西60キロの距離にある、いわき市で起きた地下6.4キロを震源とするマグニチュード(M)7.0の地震に着目した。この地震は東日本大震災の余震としては最大規模のもの。

 調査の結果、いわき市の低活動性活断層が、この地震の揺れで活性化した可能性があることが分かった。同地域では前年3月11日から10月27日までに、M1.5以上の揺れが2万4108回観測されたが、2002年6月3日から前年3月11日までの期間に同規模の揺れは、わずか1215回しか観測されていない。

 趙教授は、その要因を太平洋プレートにあるとみている。太平洋プレートが、ほぼ東北全域の地下に横たわるオホーツク(Okhotsk)プレートの下に沈み込む際、発生する摩擦熱で水が上昇し、活断層周辺が滑りやすい状態となっているとした。さらに東日本大震災後、いわき市の断層がオホーツクプレートから受ける圧力の方向が大きく変わったという。

 趙教授は記者会見で、福島原発周辺にも複数の活断層があり、いわき市や福島原発地域でも地層構造の変化が起きている可能性があると指摘。いわき市で発生した直近の強い地震を考慮すると、福島でも大地震が起こる可能性があると警告した。ただ地震発生の時期までは予測できないという。(c)AFP/Kate Millar