【11月14日 AFP】洪水に見舞われているタイの首都バンコク(Bangkok)で、市中心部を浸水から守るために他の地区が犠牲になっていると不満を募らせた北部ドンムアン(Don Mueang)地区の住民たちが、土のうを積んで作られた堤防の一部を破壊した。地元警察が14日、明らかにした。

 住民たちは、浸水した地区から水を流出させようと、しばらく前から小さな土のうを撤去したり、大きな土のうを破壊したりして約7メートルにわたって堤防の高さを低くしていたが、13日には約100人の住民が集まって堤防を壊し、この部分の高さは堤防の他の部分より約1メートルも低くなったという。

 全長約15キロにわたって土のうを積んで作られた堤防は、北から押し寄せる水の流入をせきとめ、高級ホテルやビジネス街、ショッピングセンターなどがあるバンコクの中心部を浸水から守る重要な手段だ。

 しかし、堤防の外側に住む市民たちは、そのために1か月近くも腰まで水に漬かった生活を強いられていると不満を口にしている。

 当局は14日午後にも堤防を修復する方針だが、住民らは市当局が堤防をふさぐならば、主要有料道路の封鎖などの対抗措置に出ると抗議している。

 雨期の降雨が例年より激しかったことで発生した今回の洪水は、これまでに少なくとも562人が死亡し、住宅数百棟が被害を受けるなど、この半世紀で最悪の被害を出している。(c)AFP