【11月4日 AFP】米独立系シンクタンク「戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)の独自調査委員会は3日、東日本大震災後の日本に関する報告書を発表し、日本が復興を進める方法として、原子力発電の安全・信頼性強化、減税、投資を呼び込める経済特区の設置などを提言した。

 CSISの研究員らは過去6か月の大半の期間、日本に滞在し、3月11日の東日本大震災と原発事故の後の日本の状況に関して調査。防災、経済、保健衛生、原子力エネルギー、市民社会などの分野について、さまざまな提言の概略をまとめた。

 中でも緊急提言として打ち出されたのが、福島第1原発から低量ながら長期間にわたって続いている放射性物質漏出に関し、独立機関による国際研究を立ち上げることだ。また、将来の危機に備え、保健衛生や情報伝達手段の改善も急を要するとしている。

 CSISの保健衛生調査グループを率いるスティーブン・モリソン(Stephen Morrison)氏は、報告書の発表会見で「安全性の科学的水準をどこに置けばよいのか、われわれは明確な認識を持ち合わせてはいないし、危機にどの程度備えることが適切かという問題を特によく理解しているわけでもない。危機の最中にいかに情報を伝え、国民の信頼を維持すればよいのかについても同様だ」と述べた。

 その上で、「信頼性や信用性に関する深刻な問題が存在していると考える。独立した機関であれば、今述べたような現時点でわれわれが答えを持たない重要分野について、われわれの知識を大きく前進させ得るだろう」との見解を示した。

 報告書はまた、経済面について、震災によって「日本が既に直面していたデフレや高齢化社会、巨額の公債などの数々の問題が浮かび上がった」と指摘。景気刺激策と財政赤字削減の「難しい綱渡り」に至急取り組む必要があると述べた。さらに、企業と個人に対する税率を大幅に引き下げ、一方で厳しい財政状況を緩和できるよう消費税率を調整し、「野心的な貿易自由化」にも取り組むよう提唱している。

 トーマス・ナイズ(Thomas Nides)米国務副長官は同報告書について、日本の再建・復興を支援する工程表だと称賛し、「日本はビジネスを始めている」と世界は認識する必要があると述べた。(c)AFP