【9月20日 AFP】インド北東部シッキム(Sikkim)州とネパールの国境付近で18日に起きたマグニチュード(M)6.9の地震の救助隊が被災地に向かっているが、行方不明者の捜索を開始する以前に、山間部の被災地にたどり着くことが緊急の課題になっている。一方、この地震による死者は各国で計83人になった。

 救助隊や医療チーム、緊急物資を乗せた車列は20日夜明け、シッキム州の州都ガントク(Gangtok)を出発した。だが、道はもともと細い上に損傷がひどく、車列はほとんど進めなかった。救助隊は、爆発物を扱う軍の工兵部隊の支援を受けて地震で寸断された被災地への陸路を通行できるようにする作業を行った。

 救助隊は最も被害が大きかった約60キロ先のマンガン(Mangan)地区とサンタン(Sangthan)地区を目指したが、出発後まもなく、巨大な岩石で道路が寸断されたピングラ(Phingla)の町付近で先に進めなくなった。

 軍の工兵部隊が岩に爆発物を設置するための穴を開け、最も大きな岩石の爆破に取り組む中、生死不明の親族のもとへかけつけようと取り乱す人びととともに、救助隊員は苛立ちを抱えながら待つしかなかった。

 ある工兵は、AFPに対し、震源付近の被災地までの道路の全行程を通行できるようにするには最大48時間かかる可能性があると述べた。

■被災地へのヘリ輸送が再開

 一方、モンスーンの降雨が一時的に収まったことから、豪雨と低い雲により19日にはほとんどできなかったヘリコプターの飛行が再開された。

 空軍幹部は、食料と医師と救急医療隊員を含む少人数の医療チームが、マンガン地区とサンタン地区に空中投下されたと語った。

 シッキム州の建物倒壊と地滑りによる死者数は50人のままだが、インドのR・K・シン(R.K. Singh)内相は、辺境の村々に救助隊員が到達した後に死者数が増える可能性があると警告した。また、当局者によるとシッキム州各地の病院でおよそ300人が治療を受けている。

 すでに5000人以上の兵士が、道路の啓開と救助活動支援のため動員された。インドPTI通信(Press Trust of India)によると、トレッキングをしていた15人を含む観光客26人が救助され、安全のため軍の野営地に移送された。

 シッキム州には年間100万人の観光客が訪れる。人口50万人のシッキム州では州民の約60%が生計を観光業に頼っていると推計されている。

■ネパールとチベットで死者

 ガントクでは、地震で自宅が破損した住民が、屋外での2日目の夜を過ごした。住民の多くは夜をサッカー場で過ごし、ゴールポストにビニールシートをかぶせ、テラスで睡眠をとった。

 またネパール東部では8人が死亡し、住宅数百戸が損壊した。ネパールでも、雨と地滑りにより高速道路が寸断されており、救助隊員らはインドと同様の問題に直面している。

 インド東部のビハール(Bihar)州と西ベンガル(West Bengal)州では18人が死亡。中国国営新華社(Xinhua)通信によるとチベット(Tibet)自治区南部のインド・シッキム州と国境を接する一帯で7人が死亡した。(c)AFP/Rupam Jain Nair