【8月28日 AFP】米東海岸でこれまでに9人の死者を出したハリケーン「アイリーン(Irene)」は28日、ニューヨーク(New York)市を直撃した。マンハッタン(Manhattan)の高層ビルには強風が吹きつけ、金融街には浸水被害のおそれが出ている。

 アイリーンは雷や竜巻、暴風雨をともない、27日夜から28日未明にかけてニューヨーク市を直撃した。アイリーンの勢いは着々と強まり、明け方前には風速は22メートルを超え、最大風速は約35.8メートルに達した。

 ニューヨーク市では、浸水、洪水などの危険性のあるウォール街(Wall Street)やコニーアイランド(Coney Island)などの地区で37万人に避難命令が出され、市内はまるでゴーストタウンの様になっている。地下鉄とバス、それにスタッテン島(Staten Island)へ向かうフェリーが27日には運休となり、近隣の空港も閉鎖されて米国最大都市はまひ状態となった。

 ニューヨーク市のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)市長は記者会見で、今からハリケーンから逃げるのは不可能だと述べた。

「現時点ですでに避難していなければ、いまいる場所にとどまることを勧める」と、ブルームバーグ市長は語り、「自然はわれわれよりもはるかに強大だ」と述べた。

 アイリーンは27日午前8時、米ノースカロライナ(North Carolina)州のケープ・ルックアウト(Cape Lookout)で米本土に上陸した。27日時点でノースカロライナ州、バージニア(Virginia)州、フロリダ(Florida)州で自動車事故や心臓発作、木の倒壊などで少なくとも9人が死亡した。最年少の犠牲者は11歳の少年で、バージニア州のニューポートニュース(Newport News)のアパートに倒れてきた木により死亡した。

 アイリーンは東海岸沿岸を北上しながら電力網に被害を及ぼし、100万人以上の人びとが停電に見舞われている。航空便の欠航は8000便に上り、これまでにニュージャージー(New Jersey)州を中心に約200万人が避難している。(c)AFP/Sebastian Smith