【8月27日 AFP】(写真追加)米ニューヨーク(New York)市のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)市長は26日、ハリケーン「アイリーン(Irene)」が米東海岸に接近していることを受け、市内の低地を対象に前例のない大規模な避難命令を出すとともに、地下鉄を運休させることも決めた。

 ブルームバーグ市長は「生死に関わる問題だ」と述べ、約25万人が暮らすニューヨーク市内の低地を対象に避難命令を出した。このところ続いていた強い雨で地盤が緩み、土砂崩れの危険が高まっている恐れがある。高潮に暴風が重なってハドソン(Hudson)川が氾濫すれば、マンハッタン(Manhattan)中心部や地下鉄が浸水する危険もある。

 バラク・オバマ(Barack Obama)大統領も夏休みを切り上げ、「全ての兆候は、このハリケーンが歴史的なものであることを示している」と述べ、進路にあたる地域の住民にアイリーンの襲来に備えるよう呼びかけた。

 アイリーンは27日にノースカロライナ(North Carolina)州の沿岸部に上陸し、ワシントンD.C.(Washington D.C.)、ニューヨーク、ボストン(Boston)に向かうと見られている。

 6500万人以上が住んでいる地域が洪水、暴風雨、停電、建物の損壊などの被害を受ける恐れがあり、専門家は被害額が120億ドル(約9200億円)に達する可能性もあると指摘している。

 ニューヨーク州は州兵900人と緊急復旧作業に備えて電力作業員2500人を待機させるという異例の態勢を取っている。米国立ハリケーンセンター(National Hurricane Center)によるとアイリーンは26日午後5時(日本時間27日午前6時)現在、ノースカロライナ州の南西約430キロにあり、同州沿岸部ではすでに暴風が観測されている。(c)AFP/Brigitte Dusseau