【6月16日 AFP】国土地理院の小沢慎三郎(Shinzaburo Ozawa)主任研究官らの研究チームは、3月11日に発生したマグニチュード(M)9.0の東北地方太平洋沖地震では、太平洋海底の大断層(プレート境界)が大きくすべった範囲(震源域)が比較的狭かったとする分析結果を、15日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表した。

 地震は、太平洋プレートがオホーツクプレートにもぐりこむ日本海溝の一部で発生した。研究チームではGPS(衛星利用測位システム)による国土地理院の観測システムGeoNetのデータを解析し、震源域や地震発生の経緯について詳しい情報を得た。

 断層が広がる際に本州にかかった圧力と張力をモデル化したところ、震央は仙台市から東に約200キロの地点で、震源域は海底の小さなひし型のエリアであることが分かった。

 M9.0規模の地震の記録は少ないが、震源域は数千キロに及ぶことがあり、過去最大となるM9.5を記録した1960年のチリ地震では1000キロ以上に達した。

 ところが、東北地方太平洋沖地震の震源域は、縦400キロ、幅200キロと狭かった。だが、震源が海底20キロ未満と浅かったことも影響し、その分、放出されたエネルギー量はすさまじかった。震源の真上の海底には27メートルものずれが生じ、これが大津波をもたらした。

 研究では、地震が起こる前の15年間で、太平洋プレートが徐々に押されて本州の東側に引きずられていき、それと並行して本州全域の張力が徐々に蓄積されていったことも明らかになった。(c)AFP