【5月12日 AFP】東京電力(TEPCO)は12日、福島第1原子力発電所1号機で作業員が圧力容器内の水位計を修理した結果、冷却のため圧力容器に注入した水が漏れていることが分かったと発表した。

 水位は長さ4メートルの燃料棒の底部より下にあり、燃料全体が空気中に露出している可能性があるという。しかし、圧力容器表面の温度は100~120度前後と比較的低いことから東京電力は、燃料が溶けるか位置がずれるかして容器の底に落ち、たまっている水に漬かって冷却されているのではないか、とみている。

 国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は、これまでに発表された水位のデータのうち少なくともいくつかは全く間違っていたことになり、福島原発の状況が報じられているよりはるかに深刻なのは明らかだと指摘している。

■3号機付近からは汚染水流出

 東京電力はさらに、3号機の取水口近くのピットから放射性物質を含む水が海に流出し、近くで採取した海水から法定限度の1万8000倍のセシウム134が検出されたと発表した。ピットをコンクリートで埋めたところ、汚染水の流出は止まったという。

 枝野幸男(Yukio Edano)官房長官は12日午前の記者会見で、汚染水の流出は「大変遺憾だ」と述べ、近隣の住民や漁業関係者、近隣諸国に陳謝した。

 グリーンピースが福島第1原発から65キロ離れた場所で採取した22の海草のサンプルを調べたところ、10のサンプルから1キログラムあたり1万ベクレルを超える高い放射線を検出したという。グリーンピースは日本政府に福島県沖の海草について徹底的な放射線調査を行うよう求めている。

■神奈川県の茶葉から放射線、県が出荷自粛要請

 一方、神奈川県南足柄市で栽培された茶葉から、暫定規制値の1キログラムあたり500ベクレルを超える同570ベクレルの放射線が検出され、同県は出荷の自粛を要請した。神奈川県の担当者は、汚染源の特定には至っていないが福島原発以外の原因は想像できないと話している。(c)AFP/Yuka Ito