【4月17日 AFP】日本人の医師グループが15日、英医学誌ランセット(Lancet)への投稿で、東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故処理にあたっている作業員たちが生死にかかわる量の放射線を被ばくした場合に備え、作業員の造血幹細胞をあらかじめ採取し、保存しておくべきだと提言した。

 医師らは、作業員本人の末梢血幹細胞(PBSCs)、いわゆる自家末梢血幹細胞を採取、保存しておけば自家移植を行えると提言している。

 末梢血幹細胞は種々の血液細胞の元となる細胞。末梢血幹細胞移植はがん治療で、放射線治療によって減少した患者の血液細胞を増やすためによく用いられている。

 提言は、がん研究会がん研究所の谷本哲也(Tetsuya Tanimoto)医師や虎の門病院(東京都港区)の谷口修一(Shuichi Taniguchi)血液内科部長など5人の医師の連名となっている。

 医師グループは、原子炉を完全に廃炉に持ち込むまでは何年もかかり、突発的放射線事故で作業員たちが被ばくするリスクも高まるため、自家末梢血幹細胞を保管しておくことの重要性は増すと訴えた。

 またグループは、日本の原発業界がこうした措置によって評判に傷がつくことを恐れ、作業員の自家末梢血幹細胞の保存を拒否していると不満を訴え、「最も重要な使命は、原発作業員たちの命を救い、地域社会を守ることだ」と呼び掛けた。(c)AFP