震災後の日本経済が直面する電力ショック
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【4月10日 AFP】世界第3の経済大国・日本はこれまで10年近くにわたり不況にあえいできたが、3月11日の東日本大震災に続く電力不足による手ひどい打撃にはまったく備えがなかった。
マグニチュード(M)9.0の大地震と直後の津波によって日本は電力供給のかなりの部分を失った。その影響は日本経済全体に波及し、この国に新たな問題を突きつけている。
BNPパリバ証券(BNP Paribas)チーフエコノミストの河野龍太郎(Ryutaro Kono)氏は調査レポートの中で過去20年間、日本経済低迷の主因は総需要の落ち込みだったが、現在見込まれる経済の縮小の大部分は、電力供給の厳しい制限にあると言う。
その打撃は経済全体に行き渡るだろう。大和総研(Daiwa Institute of Research)のシニアエコノミスト、渡辺浩志(Hiroshi Watanabe)氏は、特に自動車部門が大きく後退すれば、機械など他の部門へもその影響が波及しかねないと警告する。
■東北・関東以外の経済活動にも影響
また日本のように相互依存が強い経済では、電力不足だけではなく部品生産の落ち込みなどからも問題が発生し、その打撃を回避できる地域や産業は皆無だろう。BNPパリバの河野氏は、関東・東北地方で工場の稼働が停止すれば、他の地方の生産活動を支えるサプライチェーンも大きく混乱すると懸念する。
例えばシャープ(Sharp)は8日、東日本大震災後、液晶ディスプレーを減産していると発表した。同社広報はダウジョーンズ・ニュースワイヤーズ(Dow Jones Newswires)の取材に対し、震災によってテレビ用液晶ディスプレーの需給も影響を受けているため、生産に柔軟性をもたせていると答えた。
経済のまひを回避する必要に迫られる政府は8日、事業規模別に最大25%の使用電力削減を目指す夏の電力不足対策案を発表した。
しかしエコノミストたちは、この政府の電力需給対策で問題を乗り越えられるとは納得していない。パリバの河野氏は、日本経済の4割を占める関東地方の電力問題がいつ解決するか予測するのは難しいが、気温が上がり始める6月中旬以降、電力不足が再び深刻になることはありうると語っている。(c)AFP/Hiroshi Hiyama
マグニチュード(M)9.0の大地震と直後の津波によって日本は電力供給のかなりの部分を失った。その影響は日本経済全体に波及し、この国に新たな問題を突きつけている。
BNPパリバ証券(BNP Paribas)チーフエコノミストの河野龍太郎(Ryutaro Kono)氏は調査レポートの中で過去20年間、日本経済低迷の主因は総需要の落ち込みだったが、現在見込まれる経済の縮小の大部分は、電力供給の厳しい制限にあると言う。
その打撃は経済全体に行き渡るだろう。大和総研(Daiwa Institute of Research)のシニアエコノミスト、渡辺浩志(Hiroshi Watanabe)氏は、特に自動車部門が大きく後退すれば、機械など他の部門へもその影響が波及しかねないと警告する。
■東北・関東以外の経済活動にも影響
また日本のように相互依存が強い経済では、電力不足だけではなく部品生産の落ち込みなどからも問題が発生し、その打撃を回避できる地域や産業は皆無だろう。BNPパリバの河野氏は、関東・東北地方で工場の稼働が停止すれば、他の地方の生産活動を支えるサプライチェーンも大きく混乱すると懸念する。
例えばシャープ(Sharp)は8日、東日本大震災後、液晶ディスプレーを減産していると発表した。同社広報はダウジョーンズ・ニュースワイヤーズ(Dow Jones Newswires)の取材に対し、震災によってテレビ用液晶ディスプレーの需給も影響を受けているため、生産に柔軟性をもたせていると答えた。
経済のまひを回避する必要に迫られる政府は8日、事業規模別に最大25%の使用電力削減を目指す夏の電力不足対策案を発表した。
しかしエコノミストたちは、この政府の電力需給対策で問題を乗り越えられるとは納得していない。パリバの河野氏は、日本経済の4割を占める関東地方の電力問題がいつ解決するか予測するのは難しいが、気温が上がり始める6月中旬以降、電力不足が再び深刻になることはありうると語っている。(c)AFP/Hiroshi Hiyama