【3月18日 AFP】東北地方太平洋沖地震と巨大津波によってがれきと化した岩手県大船渡市の光景には、世界各地の災害現場で活動してきた経験豊富な米ロサンゼルス郡消防局(Los Angeles County Fire Department)救助隊の筋骨たくましい面々も、愕然となった。

 災害救助の専門家、救急救命医、危険物処理や構造工学の専門家ら約70名で構成される救助隊は、ハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)やハイチ地震、そして前月のニュージーランド地震でも救助活動に携わったエキスパートたち。今回の大地震を受け、真っ先に現地入りした海外救助隊の1つだ。

 だが、経験豊かな彼らでさえも、今回の地震被害の大きさには息をのむばかりだ。

 デービッド・ストーン(Dave Stone)隊長によると、2日間で5平方キロのがれきを掘り返し、捜索活動にあたってきた。これまでのところ、生存者は1人も発見できていない。地震からほぼ1週間が経過し、凍てつく寒さも続いている。「海岸から1マイル(約1.6キロ)沖で、船やたくさんの車、倒壊した家が浮いています。車の中に誰かがいるとしても、生存の見込みは極めて厳しいでしょう」とストーン隊長。

 生存者が見つかる可能性は日に日に遠のいているが、彼らは希望を捨てていない。

 大船渡市の行方不明者数は知らされていないというストーン隊長は、これまでに見つかった遺体がそれほど多くないことに希望を見いだしている。「惨状を初めて見た時は、がれきの中に閉じ込められている人が大勢いるはずだと思ったのですが、予想よりずっと少なかった。住民たちは警報を聞いて、どこか安全な場所に避難しているのではないでしょうか」  

 国連(UN)によると、大船渡市ではストーン隊長のロス郡消防局隊のほか米バージニア(Virginia)州フェアファックス郡(Fairfax County)、英国、中国の各救助隊も活動中。ロス郡救助隊は福島第1原発の事故を受け、活動エリアの放射能レベルの監視も行っている。

 ストーン隊長は「われわれの最大の強みは『熱意』。少しでも役に立ちたい」と意気込みを語り、次のように続けた。

「われわれは捜索と救助を目的に来ました。日本政府が救助活動から復興へ重点を切り替えた場合は、帰国するか、あるいはハイチ地震の時のように(被災地に残って)子どものための病院を建てたり、被災した建築物の診断を行おうと思っています」(c)AFP/Kelly Macnamara