【3月16日 AFP】米格付け機関スタンダード&プアーズ(Standard and Poor 's)は16日に発表したアジア経済に関する見通しで、東北地方太平洋沖地震と大津波による日本経済への影響は現時点で不明としながらも、2011年のアジア経済は前年よりやや緩やかながら、引き続き堅固な成長を見込めるとの予測を発表した。

 これによると、物価上昇抑制を試みる政府が金融引き締め策を強めているアジア経済において、最大の懸念事項はインフレ圧力だと分析し、「物価の上昇の一部は経済の急成長と、国際金融危機の際に国内経済を下支えしようと政府が貸付条件を緩和した点にある」と指摘した。

 このため2011年もアジア各国の中央銀行は引き締めを強め、インフレを抑制するために政策金利を引き上げると同社では見込んでいる。また危険な資産バブルを防ぐために各中央銀行が、資本規制などの対抗策も強化すると予想している。

 スタンダード&プアーズによる2011年の成長率予測を各国別に見ると、中国は9.1~9.6%で前年の10.3%を下回っており、これがアジア地域全体の成長を緩める影響力を持つと分析している。

 前週マグニチュード(M)9.0の地震と津波に直撃され、続いて原発事故も発生している日本については、前年の4%を大きく下回る1.3~1.8%と同社は予測している。またマレーシアは上昇基調で4.8~5.3%、インドネシアは前年6.1%とほぼ横ばいの5.9~6.4%だが、前年6.1%の韓国は4.3~4.8%、シンガポールは前年14.5%から大きく失速し4.5~5.0%、フィリピンは前年7.3%から5.1~5.6%へ、タイは前年7.8%から4.0~4.5%と軒並み前年は下回るものの堅調な成長率を維持すると予測している。(c)AFP