【3月14日 AFP】専門家によると原子力事故から住民を守る主な対策は、『避難』、『密閉』、『ヨウ素剤』の3つだという。

 12日、東京電力(Tokyo Electric Power)福島第1原子力発電所1号機で爆発があり、原子炉を囲むコンクリート製の建屋が吹き飛んだ。放射性物質も漏れ出したが、日本政府は、人体に影響を及ぼす量ではないと発表している。

■対策―避難

「主な汚染対策は3つ。避難、密閉、ヨウ素だ」と、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の放射線防護責任者、パトリック・グーメロン(Patrick Gourmelon)氏は語る。福島の原発付近では、住民20万人がすでに避難している。

■対策―密閉

 ドアや窓をプラスチックシートや粘着テープなどで厳重に目張りした地下室などの密閉施設に閉じこもることは効果が大きい。「肺や消化器に放射性物質のちりが入らないようにすることが重要」だとグーメロン氏は語る。

「フォールアウト(放射性降下物)が肌に接触しないようシャワーをしっかりと浴びることが重要。ただし、シャワーの際にゴシゴシ洗うと、放射性物質が体内に入る危険性があるので、ゴシゴシ洗ってはならない」(グーメロン氏)

 また、つめをかんだり、タバコを吸ったり、指をなめたりするのは厳禁だ。

■対策―ヨウ素剤

 原子力緊急事態の際には、当局はヨウ素剤を配布して甲状腺がんの予防を行う。がん発症の危険性は、赤ちゃんや十代までの子ども、妊娠・授乳中の女性で特に高い。

 ヨウ素剤の目的は、甲状腺を「健全なヨウ素」で満たすことで、放射性ヨウ素が甲状腺に入り込むのを防止することにある。

 しかし、最も重要なのはタイミングだ。ヨウ素剤は、フォールアウト事故の1時間前に摂取することが望ましい。日本政府のガイドラインによると、人体が浴びる放射線量が100ミリグレイ以上になる恐れがある場合に、ヨウ素剤を配布することになっている。(c)AFP/Anne Chaon