【10月26日 AFP】(一部更新、写真追加)インドネシア・スマトラ(Sumatra)島沖で25日夜発生したマグニチュード(M)7.7の地震で、地元当局者は26日、少なくとも108人が死亡し、外国人を含む多数が行方不明になっていると語った。また、災害当局によると、10の村が津波に押し流されたという。

 米地質調査所(US Geological Survey)によると、地震は25日午後9時42分(日本時間同午後11時42分)ごろ発生した。

 震源は人気観光地パダン(Padang)の南280キロ、スマトラ島ブンクル(Bengkulu)の西240キロのムンタワイ(Mentawai)諸島沖で、震源の深さは20.6キロ。ムンタワイ諸島は観光地で、特にサーファーに人気がある。

 ムンタワイ諸島の議員はメトロTVに対し、108人が死亡、502人が行方不明となっていると語った。

 地震の際にはパダンでも揺れを感じたという。M7.7の地震の数時間後には、M6.1、M6.2の余震も発生した。

 また、地震で最高3メートルの高さの津波が付近の島を襲った。災害対策当局報道官によると、10の村が津波に流された。

 また、保健省の危機対策センター所長によると、津波は南パガイ(South Pagai)島の内陸600メートルまで到達した。ある村では建物の80%が被害を受け、多くの人が行方不明となっているほか、各地の住宅街でも被害が出ているという。

 行方不明者の中には、オーストラリア人船長クリス・スカラー(Chris Scurrah)さんの船に乗っていたオーストラリア人9人も含まれており、ボートと航空機での捜索活動が続いている。

■「水の壁が向かってきた」

 スマトラ島でボートのチャーター業を営むオーストラリア人のリック・ハレット(Rick Hallet)氏は、地震発生時に15人の乗客を乗せて島の入り江にいた。

「船の下で少し揺れたような気がした。それから数分後、ものすごいうなりが聞こえてきた。すぐに津波だ、と思ったよ。それで沖の方を振り向くと、白色の水の壁がこっちに向かってきていたんだ」(ハレット氏)

 津波から助かろうと木を登る人もいたという。「われわれのいた入り江は幅が数百メートルほどだったが、白いしぶきをあげた水の壁は入り江の端から端まで見えた。かなり恐ろしかったよ」と、ハレット氏はフェアファックス・ラジオ・ネットワーク(Fairfax Radio Network)に語った。

 ハレット氏たちの乗るボートの横には、別のボートが係留されていた。「そのボートが波で持ち上がり、われわれのボートにぶつかってきた。われわれのボートは衝突で爆発し、炎上した」

 ハレット氏は、豪TV局ナイン・ネットーワーク(Nine Network)に「全員にトップデッキに上がって、とにかくできるだけ高いところに上がるように指示した。けれどボートは爆発し、船から逃げなければならなかった」と語った。

 ボートに乗っていた全員で海に飛び込み、そばの木につかまったが、200メートル内陸側に流された人もいた。20~30分後にようやく波は去り、全員の生存を確認したという。(c)AFP/Alvin Darlanika Soedarjo