【10月26日 AFP】インドネシア政府は26日、大規模噴火の恐れが高まっているジャワ(Java)島中部のムラピ(Merapi)山(2914メートル)の周囲から退去しない住民たちに、改めて避難するよう命じた。

 インドネシア政府は25日、ムラピ山の火口から10キロ圏内の警戒レベルを最高の「危険」に引き上げ、周辺住民1万9000人に避難命令を出した。メラピ山では数回の小規模な噴火で南側の斜面に溶岩が流れ出しているが、1万5000人近くの住民が避難命令を無視しているという。

 避難先のキャンプで寝泊まりしていた人びとの多くも、日中は仕事や家畜の世話に自宅に戻ってしまった。避難を拒否している人びとも多く、地元調整担当者によると、ムラピ山の南側斜面のスレマン(Sleman)地区では、住民1万1400人のうち3700人ほどしか避難キャンプに集まっていないという。

■火山活動が大幅に活発化

 政府の火山研究者は、24日に500回未満だった火山性地震が25日以降600回以上記録されており、「ムラピ山の活動が大幅に活発化しているという」と語る。

 現地英字紙ジャカルタ・ポスト(Jakarta Post)は、25日午後にも3回にわたって噴火し、南側と南東側の山腹に溶岩が噴出したと報じた。2006年6月の前回の大規模噴火では2人が死亡したが、火山学者らは今回の方が大きなエネルギーがたまっていると警告している。

 ジョクジャカルタ(Yogyakarta)から北に25キロのムラピ山で最大の被害を出したのは1930年の噴火で、1300人を超える犠牲者が出た。1994年の噴火では60人以上が死亡した。インドネシアの活火山数は世界で最も多い。(c)AFP