【8月5日 AFP】記録的な猛暑が原因で森林火災が多発しているロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領は4日、延焼を防ぐのに失敗したとして、海軍高官ら数人を更迭した。これまでに48人の死者を出した森林火災は、現在も拡大しており、政府の極秘の核研究施設にも火の手が迫っている。

 南部のリゾート地、ソチ(Sochi)での夏季休暇を切り上げてモスクワ(Moscow)に戻ったメドベージェフ大統領は、森林火災対策を協議する緊急会議を招集。前週、モスクワ南東部のコロムナ(Kolomna)にある海軍基地に森林火災の火が燃え移り施設や格納庫が焼失した問題をめぐり、「職責を果たさなかった」として、ウラジーミル・ビソツキー(Vladimir Vysotsky)総司令官を含む海軍高官ら数人の更迭を言い渡した。

 メドベージェフ大統領は、森林火災から国民を守るよう軍に命じたにもかかわらず、「国防省は自らの施設さえも守れていない」と関係者を非難した。

 火の手はモスクワ近郊のサロフ(Sarov)にある核研究施設にも迫っており、関係者によると施設内の放射性物質はすべて運び出された。もし延焼すれば大惨事となるだけに、当局は防火対策を急いでいる。サロフの研究施設は最高機密とされ、同市は外国人の立ち入りが禁止されている。

 非常事態省によると、過去24時間に新たに発生した森林火災は403件、鎮火された火災は293件。ロシア全土で現在も燃え続ける火災は520件、その総面積は19万ヘクタールにおよぶという。(c)AFP/Stuart Williams