【8月1日 AFP】パキスタンと中国を襲った水害による死者は7月31日までに900人を超えた。

■パキスタン、36時間で312ミリの豪雨

 パキスタン北西部および同国領カシミール(Kashmir)地方では、大雨による鉄砲水や地滑りで住宅数百戸と広大な農地が破壊され、800人以上の死亡が確認された。

 中国への主要高速道路が寸断されたとの報告もあり、カイバル・パクトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa)州(旧北西辺境州)のペシャワル(Peshawar)など多くの地域が孤立し、軍が救援に出動した。州の情報相によると行方不明者は150人に上っている。

 この他にアフガニスタンとの国境に近い山岳地帯で洪水で65人が死亡した。国連(UN)はパキスタンの水害被災者は100万人に上ったとしている。パキスタンの気象当局は北西部では36時間で312ミリという前例のない豪雨を記録したと発表した。気象当局によると、雨の峠は越えたという。

 テレビは建物の壁や屋根に上って濁流を逃れた人たちや、荷物や子どもたちを肩にかついで、冠水した道を裸足で歩いて安全な場所に向かう人たちの映像を放送した。

 欧州委員会(European Commission)はパキスタンに3000万ユーロ(約34億円)の人道援助を行ったと発表した。

■中国北東部ではダム破壊の懸念も

 中国北東部の吉林(Jilin)省では36万4000人が避難し、少なくとも35人が行方不明になっている。吉林省では一部で水道、電気、通信、鉄道が止まり、9万5000以上の建物が損害を受け、うち2万5000か所が倒壊した。中国北東部では少なくとも37人が死亡している。吉林省の中部と東部では今後も豪雨が続くと予報されている。

 吉林省の松花江(Songhua River)では31日、停泊場所から流されて下流のダムを破壊する恐れが出た12隻の船を止めるため、兵士数百人と船舶が動員された。流された船はいずれも12トンほどだという。

 このダムの下流では、洪水で流された爆発物が入った約3000個の容器の回収が続けられている。30日にダムが放水したため、容器が流れる速度が上がったという。専門家らは、爆発物がさらに下流のダムを破壊する恐れがあると懸念している。(c)AFP