【5月5日 AFP】米南部ルイジアナ(Louisiana)州沖で起きた石油掘削基地の爆発炎上事故で4日、流出した原油がメキシコ湾(Gulf of Mexico)沿岸に到達するなか、地元の漁船などが出動して生態系を保護する緊急措置が行われた。

 多くの野生生物が生息する湿地帯から成るシャンドルール諸島(Chandeleur Islands)周辺海域には、オイルフェンスが設置された。同諸島に原油被害の影響が及んだかどうかは確認されていない。

 事故があった海底油田の権利を所有する英石油大手BPによると、事故以来、米南部沿岸に原油が漂着し始めたとの報告は、これが初めてだという。

 ルイジアナ州最東端の海域にあるシャンドルール諸島は、米国で2番目に古い動物保護区、ブレトン・ナショナル野生動物保護区(Breton National Wildlife Refuge)の一部で、絶滅の危機にあるカッショクペリカン、コアジサシ、フエチドリなどが生息している。

 米海洋大気局(NOAA)では数日前から、流出した原油の帯が、シャンドルール諸島に加えて、ミシシッピデルタ(Mississippi Delta)、ブレトン島(Breton Island)に達する可能性を指摘していた。

 前月20日に石油掘削基地「ディープウオーターホライズン(Deepwater Horizon)」が爆発炎上してから2週間。大量の原油がメキシコ湾に流れ込むとの懸念は現実となりつつあり、沿岸住民の生活にも深刻な影響が出そうだ。

 「ディープウオーターホライズン」は2日間炎上したのちに水没。11人が行方不明となった。推計で250万ガロンの原油が流出したとみられる。

 海底油田と掘削基地をつなぎ原油をくみあげていたパイプは、事故で破損したままで、現在も原油が流れ出している。このため、原油流出被害の規模は、アラスカ(Alaska)沖の環境に大きな損害を与えた1989年の石油タンカー「エクソン・バルディーズ(Exxon Valdez)」号の事故を超える可能性が高い。(c)AFP/Mira Oberman