【4月23日 AFP】14日にマグニチュード(M)6.9の地震が発生した中国・青海(Qinghai)省玉樹チベット族自治州に、救援活動を支援するために集まっているチベット僧に対し中国政府は23日、「活動の妨げになる」として同省からの退去を命じた。

 被災地は同省北部の奥まった地域にあたるが、政府の発表に先立ち、現地入りしたチベット僧らに退去命令が出ていると人権擁護団体などが報告していた。

 歴史的にチベット族が多く住む地域で起きた今回の地震では2187人が死亡、80人が依然行方不明となっている。直後から周辺地域の僧院から僧侶たちが駆けつけ、生存者捜索や食糧配給、死者の火葬など地震後まもない初期の救援活動で重要な役割を担ってきた。

 しかし政府の対応ばかりに焦点をあてる国営メディアの報道では、僧侶らの支援活動はほぼ無視されており、チベットの活動家らは、周辺地域でのチベット僧の影響力に対する政府の恐れを表していると非難している。

 一方、中国国務院(内閣)はチベット僧らの貢献は認めていると反論し「地震後、玉樹(Yushu)県で僧侶らはいち早く救援活動に加わり、また宗教団体は救援金や援助物資を継続して提供している。礼拝などの宗教活動も組織し、積極的な役割を果たしている」との声明を発表した。

 ラジオ局ボイス・オブ・チベット(VOT)は22日、亡命チベット人から被災地へ送信されている弔意のメッセージが中国当局によって妨害されていると報道した。(c)AFP/Marianne Barriaux