【4月21日 AFP】アイスランドの火山噴火に伴う火山雲の影響で欧州の空の便は混乱が続いているが、空港で足止めをくらった乗客たちからは「火山雲の下、あるいは上を飛行すればいいじゃないか」という声が聞かれる。しかし専門家に言わせると、これには安全面とさらにコスト面で問題があるという。 

 ノルウェー大気研究所(Norwegian Institute for Air Research)の大気汚染専門家、Kjetil Toerseth氏によると、今回の火山雲は場所によって広がっている高度や厚さがさまざまで、どこでも密度が均一なひとつの噴煙といったわけではない。

 火山塵(じん)が集まっているところと少ないところがあり、これが上空5000~1万1000メートルの間で波のように強弱して現れる。「噴出された火山灰の多くは低めの位置、高度5000~6000メートル周辺で移動しているが、低い高度ほど微粒子物質があるのでとにかく危険だ。1万1000メートルよりも低いところで完全に安全な高度はない」

 そして「もちろん1万1000メートルより上に行けば安全」だが、その高度に到達、あるいはそこから降下する際に結局は火山雲の中を通過しなければならない。さらにこの高度を飛行できる航空機の型式や余分にかかるコストも問題になってくる。

 同様に灰が飛散していない低高度を飛行する場合も大きな問題はコストだ。低高度では大気が濃いため、飛行する際には大気分子を「押し分けるような」状態になり、それだけ出力が必要となるからだ。(c)AFP