【2月28日 AFP】地震には比較的慣れているチリだが、27日未明にマグニチュード(M)8.8の地震に見舞われた首都サンティアゴ(Santiago)市街地では、市民がパニックに陥った。

 地震発生時刻は現地時間午前3時34分(日本時間同日午後3時34分)。震源地から約325キロ離れたサンティアゴでは、揺れは約2分間続き、就寝中だった市民たちはパジャマのまま一斉に家から避難した。AFP記者は「首都では建物がゼリーのように震えた」と伝えた。

 停電は地震直後から発生した。サンティアゴ中心部では寝ていた住民と、金曜の夜をバーで飲み明かしていた客が共に路上に飛び出した。「多くの人が酔っていた。クラブにいた友達は、中は地獄のようだったと言っていた」とある国連(UN)職員は語った。

 被害の大きいチリ中部からは、崩壊した建物や橋などの映像が届いている。亀裂の入った市街の道路には車両が転がり、がれきが散乱するほか、陸橋にかろうじてぶらさがった状態の車も見える。

■地震国ならでは防災計画の備え

 同じく先日大地震に見舞われたハイチでは、防災対策が不十分で対応が大幅に遅れたこととは対照的に、日本と同じ環太平洋火山帯の地震国であるチリでは、長年備えてきた地震防災計画の初動が早く、市街ではすでにブルドーザーががれきなどの除去作業を始めている。また市民らも家族や近所同士で声をかけ合い、互いの安否を確かめている。

 国連によると本震後の余震は51回に上り、震度もマグニチュード(M)4.9~6.9といまだ警戒が必要だ。震源地からある程度離れていたサンティアゴでは、市中心部の大教会と国際空港に大きな損傷を受けた以外、多くの建物は外からは異状なく見えるが、内部の壁や床は崩れ落ち、備品は砕け散っている。市民600万人の多くは余震を恐れて屋外にとどまっている。今回の地震による死者は300人を超えるとみられている。(c)AFP/Moises Avila