【2月28日 AFP】南米チリで27日午前3時34分(日本時間同日午後3時34分)ごろ発生したマグニチュード(M)8.8の地震による津波が各地に到達している。

■ロビンソン・クルーソー島で5人死亡

 地震発生直後、チリ太平洋岸のタルカワノ(Talcahuano)を高さ2.34メートルの津波が襲った。チリ本土から約700キロの太平洋にある人口約600人のロビンソン・クルーソー(Robinson Crusoe)島では津波で5人が死亡し、11人が行方不明になっている。この島に一番近いチリ本土のバルパライソ(Valparaiso)市の市長が確認した。

 ロビンソン・クルーソー島には、沈没したスペインのガレオン船の残がいを調査するフランスの考古学チームがいたが、現在のところ連絡はついていない。

 ロビンソン・クルーソー島は、1704年に乗り組んでいた船の船長からこの島に置き去りにされたスコットランドの航海長アレクサンダー・セルカーク(Alexander Selkirk)の体験を元にダニエル・デフォー(Daniel Defoe)が書いた小説の主人公の名前をとって名付けられた。

■仏領ポリネシア、ハワイ、オーストラリアにも

 仏領ポリネシアでは、ガンビエル(Gambier)諸島とマルケサス(Marquesas)諸島で津波が観測されたが、大きな被害や死傷者はでていない。

 米ハワイ(Hawaii)では16年ぶりに津波に警戒をよびかけるサイレンが鳴り響き、住民数千人に避難命令が出された。

 米国の太平洋津波警報センター(Pacific Tsunami Warning Center)は、米ハワイ(Hawaii)に最初の津波が到達したと発表した。大きな被害は出ていない模様だが、今後大きな津波が到達するおそれがあるとして警戒を呼びかけている。

 また、オーストラリアでもタスマニア(Tasmania)島沖で数センチの潮位の上昇が観測された。今後最大で40センチの潮位上昇とオーストラリア東部沿岸で数時間にわたり海流が強くなるおそれがあるとしている。

 しかし一般住民はあまり心配していない様子で、シドニー(Sydney)のボンダイ(Bondi)ビーチでは大勢の海水浴客の姿がみられ、近くのクージー(Coogee)のビーチでも、珍しい波が来ないかと砂浜から海を見る人々の姿があった。

■日本には正午ごろ到達か

 インドネシアと台湾の当局は津波を監視していると発表した一方、フィリピンは住民の避難計画の検討を始めた。日本の気象庁は、28日の午後に日本の東部沿岸に津波が到達するおそれがあるとしている。(c)AFP