【10月15日 AFP】インド洋一帯の国々で14日、一斉に津波警報が鳴った。2004年に約22万人の死者を出したインド洋大津波と同規模の津波が発生したとの想定で、アジア、オーストラリア、中東、アフリカまでを含んだ大規模な避難訓練「Exercise Indian Ocean Wave 09」が行われたのだ。

 各国の警報システムと津波への備えを確認するのが、国連(UN)も後援した今回の訓練の目的。

 米ハワイ(Hawaii)にある太平洋津波警報センター(Pacific Tsunami Warning CenterPTWC)と、日本の気象庁から、マグニチュード(M)9.2の地震と津波が発生したとの速報が出されると、04年の津波で16万8000人の犠牲者を出したインドネシア・アチェ(Aceh)州では、児童らを含む数百人が参加、海岸から高台を目指して走って逃げた。

 赤十字(Red Cross)のボランティアや警察官、兵士らが、顔に泥や血のりを塗りつけ負傷者に扮(ふん)した人びとを救急車に担ぎ込み、海岸から避難させる訓練も行われた。

■「恐怖思い出すだけ」、訓練に冷淡な住民たち

 だが、アチェの住民の多くにとっては、今回の訓練は実際に体験した恐怖を思い出させるだけだったようだ。

 アチェ州ウレレ(Ulee Lheue)に住む1人は、「訓練は、津波に襲われた場合の対処法を学べるという点では有益だ。でも、サイレンや群集はわたしをパニックさせる。04年の津波を思い出してしまうんだ」と語った。

 別の住民は、「アチェの人びとはもう、津波がきた時の逃げ方を知っている。潮位が下がるなど、津波の兆候があったら反射的に高い所に逃げる」と述べ、津波の破壊力を見せつけるようなことは必要ないと訓練を一蹴。当局が設置した避難所について、「あんな海に近い建物に逃げ込んだら、津波が来たらひとたまりもない」と話した。

 地元警察当局は、太陽エネルギーを使った警報システムはサイレンの音がやや小さかったが、それ以外の点では訓練は成功だと述べている。(c)AFP/Nurdin Hassan