【2月9日 AFP】オーストラリア南東部をなめるように相次いで発生している山火事で、人間たちの悲劇の陰に隠れ、忘れられている犠牲者がカンガルーやコアラといった野生動物や、牛や羊などの家畜たちだ。

 公式発表によると、今回の一連の山火事での死者はこれまでに少なくとも130人に上っているが、燃え朽ちた動物たちを数えようとした者は誰もいない。

 オーストラリア野生生物保護協会(Wildlife Protection Association of Australia」代表のパット・オブライエン(Pat O'Brien)氏は「カンガルーやワラビーも、森林に住んでいた動物たち・・・ポッサムやコアラもみんな死んでしまった。野生生物にとって悲惨な、恐ろしい状況。大打撃だ」と深刻だ。

 家畜の被害も大きいとみられるが、正確な数はまだ把握されていない。しかし各メディアは、道路沿いに牛や羊の焼死体が多数、転がっていると報じている。ある地元紙には、重傷のやけどを負った家畜の羊を苦しみから救うため、自らのライフルで撃ち殺す農場主の写真が掲載された。

 取り乱したままの生存者たちからは、決死の人命救助を行っている間にペットを救出しそこねたという話や、人間たちは危機一髪で車に乗り込んだが、犬や猫を置いてきてしまったという声が聞かれている。(c)AFP