【10月31日 AFP】パキスタン南西部で29日未明に発生したマグニチュード6.4の強い地震で、地元保健当局は31日、家を失った多数の子どもたちが死に至る可能性もある病気に苦しんでいると明らかにした。一方、救援活動はようやく端緒に付いた。

 アフガニスタン国境に近い南西部バルチスタン(Baluchistan)州の被災地には、地震発生から2日以上経ってようやく救援物資が届き始めている。地震での死者は約300人に上り、数千人が家を失った。

 各国政府や人道支援団体が義援金の拠出や救援活動の支援を表明する一方、現地ではイスラム系武装勢力なども被災地のボランティア活動に参加している。

 ただし、強い余震が続く中、地震でれんが造りの自宅が崩壊した数千人は、氷点下の屋外で夜を明かすことを強いられており、子どもや高齢者の間には病気も広がっている。同州の人口の大半は子どもで、そのうち2万5000人から3万人が、肉体的また精神的な病気にかかっていると推定されている。

 目撃者によると、被災地に接する道路では、子どもたちが通過する車の後ろを走って追いかけ、物乞いする姿も見られている。

■イスラム武装勢力も救援活動

 一方、イスラム系武装勢力も救援活動に加わっている。一部の組織は、2005年にパキスタン北部で7万4000人の死者を出した地震の際にも最初に被災地に駆けつけているが、今回も遠隔地の村々で食糧、医療品、避難所を提供し、好意的に受け止められている。

 米国にテロ組織として指定されている「ジェマテダワ(Jamaat-ud-Dawa)」もその1つで、救援活動に加わっているメンバーの1人は、苦しんだり被害を受けている時に政治活動はしないと主張。「われわれは人々に奉仕することを重視している」とし、被災者の救済に全力を尽くしていると語った。

■復興には数か月が必要

 地震で約1万5000人が家を失ったとされているが、地元当局によると州および中央政府は十分な支援を行えていないという。

 軍当局によると、軍と治安部隊はこれまでにテント約2000張、食糧15トンを供給しており、数日中にさらに支援物資が届く予定だとする一方で、復興には数か月を要するとの見方を示している。

 また米政府は100万ドル(約9800万円)、サウジアラビア政府は1億ドル(約98億円)の資金援助を表明している。(c)AFP/Hasan Mansoor