【9月1日 AFP】メキシコ湾(Gulf of Mexico)上を北進中の大型ハリケーン「グスタフ(Gustav)」は現地時間1日に米国南部へ上陸するとみられている。住民200万人近くがすでに避難した米ルイジアナ(Louisiana)州では同日早朝から強風と豪雨に見舞われている。

 今回の避難規模は米国史上最大となりつつある。当局は警戒域内にある製油施設数か所の操業も停止した。
 
 2005年の大型ハリケーン「カトリーナ(Katrina)」の爪跡がいまだ残る同州ニューオーリンズ(New Orleans)では、すでに市内数か所の停電が報告されている。

 米国立ハリケーンセンター(US National Hurricane Center)の気象観測レーダーによると、ニューオーリンズへ向かって進んでいるハリケーン「グスタフ」の周縁部分は、すでにミシシッピデルタ(Mississippi Delta)と呼ばれるミシシッピ(Mississippi Delta)州北西部にかかっている。しかし、ハリケーン中心部の上陸が正式に確認されるのは1日午後になるとみられる。

 勢力は5段階のうち3番目に強い「カテゴリー3」。風速は約50メートルを維持している。上陸前に勢力が多少強まることが予想されるが、メキシコ湾を北上する間はこのままカテゴリー3にとどまるとみられている。

 ルイジアナ州の州都バトンルージュ(Baton Rouge)やその他内陸部の地域では、「グスタフ」の影響から生じる竜巻にも警戒が呼び掛けられている。

「カトリーナ」による大被害、その際の州および連邦政府の対応失敗の記憶は新しく、軍および民間の救援活動は今回、すでに本格的に稼働している。2005年8月29日、ニューオーリンズ付近に上陸した「カトリーナ」では、構造の弱かった同市の堤防が決壊、大規模な洪水が発生して約1800人が死亡、住宅数万軒が破壊された。

 ルイジアナ州当局によると今回は「グスタフ」接近に備え、ニューオーリンズ市内にすでに州兵約750人を配備、救援要請に対応できる態勢を整えている。レイ・ネーギン(Ray Nagin)市長は31日、夜間外出禁止令を発し、混乱に乗じた略奪の取り締まりを宣言した。地元テレビ局のインタビューで同市長は、避難命令の結果、市内は「ゴーストタウン」と化し、残っている市民はわずか1万人程度だと述べた。

 避難した住民からは安堵の声も聞こえる。48歳の男性は「市長は財産の無事を保証してくれた」という。車いすを使用している84歳の男性に付き添いながら避難用のバスに乗り込もうとしていたこの男性は「カトリーナのときのような大混乱には巻き込まれたくない」と述べた。

 ボビー・ ジンダル(Bobby Jindal)ルイジアナ州知事は、安全に活動できるようになり次第、1日中にも捜索救援活動を開始すると述べた。

 ジンダル知事によると、これまでに重症の患者3人が避難のための移動中に亡くなったという未確認の報告があることを明らかにし、自宅に留まるリスクと避難するリスクをよく見極め、患者にとって最良の方策を採って欲しいと述べた。(c)AFP/Glenn Chapman