【8月22日 AFP】強い雨と風を伴った台風12号「ヌーリ(Nuri)」が22日、香港に上陸し、気象当局は台風警報「レベル9」を発令した。香港証券取引所は取引を中止し、多くの企業も休業した。

 気象庁に相当する香港天文台(Hong Kong Observatory)は、風速がさらに強まる見込みであるとして、2003年以来5年ぶりの台風警報「レベル9」を発令し、市民に外出を控えるよう警告した。

 ヌーリは、現地時間午後5時(日本時間午後6時)に香港東岸に上陸。その後勢力は弱まり、最大風速約24メートルの熱帯低気圧となった。

 香港天文台は、台風の目が通過する際に暴風雨が一時的におさまる可能性もあるが、「突然、別の方角から暴風が再開する」と注意を促した。

 英字日刊紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)によると、中国本土では、政府当局が、南部広東(Guangdong)省沿岸部の25万人に避難を指示した。市内の浜辺で男性1人が行方不明となったほか、落ちてきた建築現場の足場に当たって2人が負傷し病院に運ばれるなど、10人が負傷したと伝えられている。

 8月は、香港の気温が最も高く、しばしば台風によって市全体が機能停止することがあるものの、香港の建造物は暴風雨に対して堅牢に設計されているため、大きな被害が起きることはほとんどない。

 市内のコンベンションセンターで開催が予定されていたコンピューターの見本市では、主催者側が、台風が上陸した場合も見本市を開催すると述べ、また、仮に台風警報が発令された場合には入場料を無料にすると発表していた。そのため、外出を控えるようにとの当局の警告を無視して数百人の人々が集まった。しかし、見本市は中止されていたため、憤慨した群衆が中に入ろうと入り口のドアを叩き始め、警備員が警官を呼ぶ事態となった。(c)AFP