【5月31日 AFP】イタリア、ベルギー、英国、フランス、ドイツでは29日から30日にかけて豪雨に見舞われた。

■イタリアでは4人死亡 北部に非常事態宣言も

 通信社ANSAによると洪水と土砂崩れに見舞われたピエモンテ(Piedmont)とバレダオスタ(Valle d'Aosta)の2州に対し、イタリア政府は30日、救助活動を迅速化するため非常事態の宣言を閣議決定した。

 ピエモンテ州では3歳児含む4人が死亡。サビリャーノ(Saviglano)では土砂崩れのため休校になり、デモンテ(Demonte)では30人が避難した。

 トリノ(Turin)では病院から患者50人が避難した。トリノに近いビラール・ペリーチェ(Villar Pelice)では土砂崩れで住宅1棟が倒壊、中にいた高齢の男性1人が死亡した。市民防衛当局が明らかにした。また土砂崩れに巻き込まれた車両の中で1人が遺体で見つかった。

 赤十字(Red Cross)職員によると最悪の事態は脱した。衛星テレビスカイ(Sky)TG-24が報じた。

 バレダオスタ州は30日までに晴天となった。

■フランスでは交通網に打撃

 フランス南東部ではフランス国鉄(SNCF)が大雨による事故防止のためトリノ-リヨン(Lyon)間の運転を取りやめた。

 フランスとイタリアを結ぶトンネルでも土砂崩れの影響で大型車の通行が数時間にわたり禁止となった。地元当局によるとアルプス地方のサボア(Savoie)、イゼール(Isere)の2県では安全のため高速道路数か所が通行止になった。

 コルシカ(Corsica、コルス)島では消防隊員によると夜にかけて浸水のためホテル2軒から宿泊客らが避難した。

 東部では当局によると周辺道路が土砂崩れと浸水で、別の道路も倒木で夜間通行ができなくなり、一部の村が孤立した。

■ベルギーやドイツでも

 ベルギー東部リエージュ(Liege)では報道によると暴風雨のため道路に泥水が流れ込んだが、負傷者は報告されていない。テレビでは浸水した住宅や泥水を流れる車両の映像が放映された。

 ドイツ南西部では豪雨と強風による被害は広範囲にわたると報じられた。メンヘングラッドバッハ(Moenchengladbach)では女性が電源を切るために浸水した貯蔵室に裸足で入ったため感電した。

 数十人が車を捨てた。バーデンビュルテンベルク(Baden-Wurtemberg)では落雷で農場が燃えた。

■英国では鉄砲水

 英国南西部では29日夜に豪雨のため鉄砲水が発生、30日には後片付けが行われた。

 最も被害が大きかったのは南部サマセット(Somerset)州で、浸水した道路には車が何台も置き去りにされ、大勢の運転手が消防隊員に救助された。数百の家や会社が浸水した。救急当局によると負傷者はいない。

 イングランド南部と中部は前年、近年まれに見る大水害に見舞われたが、デボン(Devon)・サマセット消防当局は今回の災害について「典型的な鉄砲水」だと説明した。(c)AFP