【5月18日 AFP】ミャンマーを襲ったサイクロンへの軍政の対応の遅れが「人道に対する罪」に当たるのではないかとの国際的な非難が巻き起っているが、専門家はそういった非難は救援活動をますます困難にするおそれがあると警告している。

 専門家らは、軍政への非難は被災地となったデルタ地域の絶望的な状況への国際的関心を高めるために有効だったとしながらも、そういった強硬姿勢に対して秘密主義的な軍事政権が良い反応を示すことはないだろうと述べる。

 ミャンマーの軍政はずっと前から、強制労働、児童の軍隊への徴用、強制移住、反政府勢力活動地域での食糧供給の妨害など、数多くの人権侵害について非難されてきており、サイクロンの救援活動が遅いと非難されたところで、ミャンマー軍政が大きく変わるとは考えにくい。

 ブリュッセル(Brussels)に本部を置くシンクタンク、国際危機グループ(International Crisis GroupICG)の東南アジア地区ディレクターのJohn Virgoe氏は「被災地への支援物資の輸送を実現させる上で、こういった種類の発言(軍政非難)の影響を懸念している」と述べた。

 また、Virgoe氏は、「軍政指導者らは非常に頑迷になっており、全く独自の思惑を抱いているので『アメとムチ』の戦略を用いたとしても、アメよりムチの方が気になってしまうからうまくいかない」と述べた。

 欧州連合(EU)のルイ・ミシェル(Louis Michel)委員(開発・人道援助担当)は、軍政との交渉で満足の行く結果を得ることができないまま、16日にミャンマーを離れた。

 帰国後、ミシェル委員は直ちに、「我々の支援を軍政に支持させなければならない」と述べ、国際社会の救援活動をミャンマー軍政に全面的に受け入れさせるために、「あらゆる言論活動と外交活動を用いて、可能な限り圧力をかける」よう国際社会に要請した。(c)AFP/Charlie McDonald-Gibson