【5月19日 AFP】四川大地震の被災地で、医師のXiao Jinsong氏が率いる医療チームは、生存者の生命を守るために時間と闘っているが、彼らに与えられた使命はがれきの中から生存者を救出することではない。

 Xiao氏と医療チームは、仮設テントが立ち並び、感染症の危険が急速に高まりつつある市街地での生活を強いられている被災者たちを救おうと努力している。

 500万人近くが住む家を失った四川大地震発生から1週間が経過した現在、感染症予防が最重要課題だと彼らは言う。

 震源地から50キロほど離れた人口6万人の都江堰(Dujiangyan)は、中国政府が死者5万人と推定するこの大地震で、最も大きな被害を受けた地区の1つ。

 数十軒の急ごしらえの小屋が立ち並ぶ被災者村が、市内の草地や交差点近くの空き地などあちらこちらに作られている。そこに水道やトイレはない。

 都江堰の赤十字病院で院長を務めるXiao氏は、感染症予防策の1つとして仮設テントや小屋が建ち並ぶ場所を定期的に検査している。世界保健機関(World Health OrganisationWHO)も被災地での感染症発生は大きな脅威だと懸念を示している。

 Xiao氏は市内の状況について「清潔な飲料水はあるがハエが多い」と話す。同氏の医療チームは、損傷を受けた病院建物の中でスタッフを余震の危険にさらすことを避け、屋外のテントに外来患者向けの診療所を設置した。現在最も多い病気は普通の風邪だという。

 調理用コンロやトイレなど基本的な生活用品や設備を欠く被災地では、水や食糧を介して感染する細菌やウイルスが大きな脅威になると医療関係者は主張する。

 被災者村に住むある女性は警察署を指し示し、「あそこにトイレが1つあるが、あまりの混雑に多くの人が外で用をたしている」と語る。

 女性によると、毎日瓶詰めの飲料水がボランティアによって届けられているという。

 瓶詰め飲料水の箱の間で眠る被災者の住民もいた。被災から3日目にトラックで運ばれてきたという水が洗い物用として大きな2つの水差しにためられていた。

 女性や他の被災者が屋外の調理場で料理をしながら被災生活について話している間にも、訪れたボランティアが小冊子を配りながら衛生と健康を維持するための方法を住民に説明するなど、関係者による感染症を防ぐ努力は続けられている。(c)AFP/ Ian Timberlake