【5月5日 AFP】(写真追加)2日に噴火したチリ南部の火山は周辺地域に大量の火山灰を降らせており、火山から約10キロメートル離れたチャイテン(Chaiten)の町はゴーストタウン化してしまった。4000人の住民は今後の生活に不安を抱いている。

 エドムンド・ペレス・ヨマ(Edmundo Perez Yoma)内相は3日、「この火山に関する過去の記録はないため、火山灰の排出が数週間または数か月間続くのか、予想もつかない」と語った。

 チャイテンの全住民4000人は近隣の町などに避難し、残っているのは、住民たちの財産を守るために必要な最小限の警察や軍、政府職員だけとなった。同地を離れることをかたくなに拒否している地元住民も数人いるという。

 ミチェル・バチェレ・ヘリア(Michelle Bachelet Jeria)大統領は4日、被害地域を視察。その後の記者会見で、避難の繰り返しを避けるためにチャイテンの町全体を火山から離れた地域に移すことは、現在のところ考えていないと語った。
 
 チャイテンやその周辺地域では数センチメートルの降灰量を記録し、風に吹かれた火山灰は数百キロメートル先のアルゼンチン・チュブト(Chubut)州まで飛来しているという。同州では、健康に関する非常事態が宣言され、学校や空港、主要幹線道路が封鎖されており、一部地域では給水活動も行われているという。
 
 噴火による死傷者は報告されていないが、地元ラジオ局Radio Cooperativaは、92歳の女性が3日の避難の際に心肺機能の問題で死亡したと報じた。

 火山は標高約1000メートル、首都サンティアゴ(Santiago)の南方1300キロメートルに位置する。(c)AFP