【1月31日 AFP】(一部更新、写真追加)約50年ぶりの豪雪など中国南部を襲っている大寒波により、次週に旧正月を迎える現地では最悪のタイミングで交通が混乱し、食料品など生活必需品の価格が高騰している。

 死者64人を出し、少なくとも1億500万人に影響を与えている悪天候による物価急上昇が社会的動揺を招くことも懸念され、過去10年間で初めてインフレ抑制が政府の最優先課題となっている。

 JPモルガン・チェース銀行(JPMorgan Chase Bank)のアナリスト、Grace Ng氏は研究ノートの中で「過去数週間、中国は歴史的規模の荒天に見舞われ、食品価格を再び押し上げている」と警告し、「旅行シーズンとして1年で最も繁忙な時期と重なったことで状況はさらに悪い。本来ならば南部から北部へ出荷青果類の出荷されるはずの青果類が価格上昇を招いている」と指摘している。

 生活必需品を中心とする物価上昇は50年ぶりの大雪が降る以前から問題となっていたが、年間11.4%の成長率で拡大している中国経済のインフレをあおりかねない。
 
 旧正月を控え何百万人もの帰省客で大混雑していた中国の交通をほとんど停止状態に陥れている厳しい大寒波の影響は、すでにエネルギーや食糧供給にもみられている。アナリストらは、最近の一連の物価抑制政策には、想定外だった悪天候の影響予測が盛り込まれていると分析する。

 1989年の天安門(Tiananmen Square)事件の原因の1つは物価高騰にあったと認識している中国政府は、世論の憤りを恐れてすでに食料、電気、ガソリンの上限価格規制に出たが、「こうした規制の影響の一つは、電力と交通サービスの供給抑制だ」とゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)のエコノミスト、ホン・リャン(Hong Liang)氏は述べる。価格統制により供給が抑制されたため、各電力会社は通常レベルの約半分の石炭を備蓄にまわしてしまい、「危機的展開は現在進行形」だとリャン氏はいう。
 
 一方、オリエント証券(Orient Securities)上海(Shanghai)支店のエコノミスト、Feng Yuming氏は「この豪雪によってもたらされたダメージはインフレと共に、今年第1四半期の経済的・産業的収益性に明確なマイナス影響をもたらすだろう」と警告している。(c)AFP/Benjamin Morgan