【11月17日 AFP】(11月17日一部更新)15日夜にバングラデシュ南部の沿岸部を直撃した非常に強力なサイクロン「Sidr」は、広い範囲で大きな被害をもたらしながら同国内陸部を通過し、同国政府はこれまでに1595人の死亡を確認した。犠牲者はさらに増える見込みで、当局では数千人に達する恐れがあるとしている。

 ベンガルトラ( Royal Bengal tigers)の生息地、サンダーバンズ(Sunderbans)のマングローブ林もサイクロンの直撃を受け、野生生物への被害が懸念されている。

 スイスに本部を置く国際自然保護連合(World Conservation UnionIUCN)のバングラデシュ代表を務めるAinun Nishat氏は、「シカ数千頭とトラ数頭が増水によって川に流され、溺死しだ恐れがある」と語った。

 サンダーバンズは総面積約5800平方キロメートルにおよぶ世界最大規模のマングローブ林で、バングラデシュ南部のベンガル湾(Bay of Benga)に面した、ガンジス(Ganges)川とブラフマプトラ(Brahmaputra)川が合流するデルタ地帯に広がっている。
 
 木に覆われた小さな約200の島から成り立っており、数百もの感潮河川や小川が複雑に絡み合った地形をしている。

 絶滅危惧(きぐ)種に指定されている希少なベンガルトラが、500頭生息していると推定されている。1900年には約10万頭いたベンガルトラは、個体数が激減し、現在では5000頭から6000頭しかいないとみられている。(c)AFP