【10月18日 AFP】韓国農村経済研究院(Korea Rural Economic InstituteKREI)は18日、北朝鮮が水害や悪天候により翌年も再び食糧危機に見舞われる危険があると指摘した。

 同院で研究調査を監督する權泰鎮(Kwon Tae-Jin)氏はAFPの取材に対し、「水害や台風、害虫発生などに見舞われた北朝鮮は、今年の収穫量が約10%も減少したうえ、2008年も深刻な食糧不足に直面する可能性が高い」と警告。さらに「各種制裁で諸外国からの食糧支援も減少しており、1995-98年の飢饉(ききん)の再来もあり得る」と語った。同飢饉は数十万人の犠牲者を出したといわれる。

 權氏によると、2300万の北朝鮮人口を養うためには、穀物の収穫期にあたる今月から来年秋までの1年間に、少なくとも530万トンの食糧が必要だ。しかし、実際の収穫量はこれを140万トン下回る390万トンと見込まれる。

 北朝鮮は、わずかな外貨収入で毎年20-30万トンの食糧を輸入しているとみられるが、不足量をまかなうためには外国からの支援が必須だと權氏は語る。

 北朝鮮最大の援助国である韓国は、毎年40万トンの食糧支援を行っているが、来年は50万トンまで増量する見込みだ。

 一方、世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)バンコク事務所の報道官によると、中国を含め海外からの食糧支援の一部は、直接北朝鮮に送られているという。しかし、同報道官は、国連の最新統計によれば、北朝鮮のトウモロコシやコメなどの穀物備蓄量は、同国人口が実際に必要とする量を大幅に下回っていると指摘した。

 また、北朝鮮で8月に発生した一連の水害での被害者を含む数百万人に対し、WFPが行うとしている食糧支援は「小規模にすぎない」と懸念を示した。

 水害をうけ、北朝鮮政府は、WFPに対し、これまで立ち入りを禁止していた地域でも支援活動を許可している。

 北朝鮮の食糧不足は慢性化しており、水害に見舞われる以前からも、不足分の20%にあたる1万トンの食糧を常に外国からの支援でまかなってきた経緯がある。(c)AFP/Park Chan-Kyong