【8月21日 AFP】(写真追加、一部更新)全米ハリケーンセンター(US National Hurricane Center)は20日午前、ハリケーン「ディーン(Dean)」が、ハリケーンの強さを表す「シンプソン・スケール(Saffir-Simpson Hurricane Scale)」で「大災害の可能性」があるとされる「カテゴリー5」に発達し、メキシコのカリブ(Caribbean)海沿岸に接近していると発表した。

 同センターは「観測にあたっている航空機によると、ディーンは最大瞬間風速が70メートルを超えるまでに勢力を増した」とし、これによりカテゴリーを5に引き上げたと明らかにした。1886年の観測開始以来、カテゴリー5にまで発達した大西洋上のハリケーンはわずか28件。

 メキシコ政府は、2年前にカンクン(Cancun)を襲い死者10人、被害額数百万ドルを出したハリケーン「ウィルマ(Wilma)」の後に発生したような略奪行為を防ぐため、約1000人の警官を配備した。

 予報によると、ディーンはカンクンと、カンクンから300キロ離れたベリーズとの国境に近いチェトゥマル(Chetumal)の間に上陸するとみられ、ユカタン半島(Yucatan Peninsula)沿岸の大半の地域、およびベリーズに隣接するすべての沿岸地域と島々にハリケーンへの警報が発令されている。

 さらに国営のメキシコ石油公社(Petroleos de MexicoPEMEX)によると、同社はメキシコ湾(Gulf of Mexico)沖合の石油関連施設などをすべて閉鎖し、関係者全員を避難させたという。

 また、米国内務省資源管理局(Mineral Management Service)によると、メキシコ湾の米国側に位置する石油掘削用建築物は直接的なハリケーンの影響の心配はないとしつつも、有人の石油採掘プラットフォーム834基のうち10基、および石油掘削用建築物101棟のうち24棟から関係者を避難させた。

 予報によると、ディーンは21日にユカタン半島を横切りながら、熱帯低気圧へと勢力を弱めるもよう。ただし、メキシコ湾の温かい海水の上を進むため、今週末にメキシコ北部に再上陸する際、再度ハリケーンへと勢力を増す可能性もあるという。(c)AFP