【8月19日 AFP】15日にマグニチュード8.0の大地震に見舞われたペルーでは19日、保健省が伝染病拡大防止に取り組む一方、アラン・ガルシア(Alan Garcia)大統領は略奪などを防止するため外出禁止令を発令した。

■懸念される治安の悪化

 ピスコ(Pisco)やチンチャ(Chincha)での略奪が起こったとの報道に対しガルシア大統領は、それらはうわさに過ぎないと述べた。しかし、ラジオ局RPPのあるレポーターは無法地帯化しつつあるチンチャの様子を涙ながらに伝え、地震により町は壊滅状態となり、武装したギャングが略奪目的でうろついていると報じた。

 リマ(Lima)で発表された政府の声明によると、ピスコ、チンチャ、イカ(Ica)、カネテ(Canete)で略奪の取り締まりに当たっている警官2000人を支援するため、兵士1000人が派遣されたという。

 救助活動を支援しているスペイン特別救助隊の隊員1人が銃で狙われる事件が発生したが、怪我はなかったという。

 被災地では、暴徒化した住民らにより、食料品店や食料を積んだトラック、非常食を備蓄している病院などが狙われる事件が相次いで発生しており、治安の悪化が懸念されている。

■余震や感染症の危険のなか救援活動が続く

 一方、カルロス・バジェホス(Carlos Vallejos)保健相によると、 リマの南東240キロの沿岸都市では、約1500人の医師や看護師が被災者の疾病拡大防止に取り組んでいる。特に、呼吸器系疾患、破傷風、下痢、コレラなどの感染症の蔓延に警戒を強めているという。

 公式発表によると、15日に発生した地震による死者は500人、負傷者は1600人以上にのぼる。これまでのところ、行方不明者数に関する公式発表はない。報道によると、被災者の数は推計20万人に上る模様。

 余震も人々を精神的に追い詰めている。政府の地球物理当局の報告によると、余震は400回を超え、マグニチュード5.8の大規模なものも発生している。今回の地震は1970年以降、最大規模だという。
 
 被災地には各国から医療関係者や救援物資などの支援が多数寄せられている。国内全域からも個人からの食料や救援物資などの寄付が寄せられているという。(c)AFP/Cesar Sabogal