【8月9日 AFP】南アジア諸国ではモンスーンによる豪雨から洪水が発生。農村地帯を中心に被害が相次いでいる。

■被災地は農村、農業国の経済を懸念

 特に一部の農業地帯では、今季、収穫されるはずの農作物が壊滅的被害にあったことから、食糧不足が懸念されている。また、南アジア各国は農業に依存しており、各国経済にも大打撃を与える恐れがあると専門家は警告している。

 インド、バングラデシュ、ネパールでは6月以降、洪水により約1900人が死亡、少なくとも2800万人が避難を余儀なくされている。当初、洪水で破壊された農家、住宅、社会基盤への被害は、過去2週間で約120億円と算出されていたが、インドだけでも、6月1日以降、少なくとも約383億円の被害が出ている。

■最大の被災地はインド東部

 最も被害の大きかったインドのビハール(Bihar)州にある4つの地区では、コメを主とする今季の農作物が壊滅的な打撃を受けた恐れがあると、農業関係の専門家は指摘する。

 農作物や住宅に関するビハール州の被害について、インド政府は約45億円と試算している。しかし、1200万人が影響を受け、約110万ヘクタールの農地が水没。州当局、被害額は政府試算のおよそ2倍になるとしている。

 インド北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州では、農地50万ヘクタールが水没。北東部アッサム(Assam)州では、避難した670万人のうち、半数以上が今週自宅に戻ったものの、食糧供給や衛生状況はさらに悪化しているという。

■バングラデシュ、ネパールも被害の全容を把握できず

 一方、バングラデシュでは国土の40パーセント以上が洪水に襲われた。同国政府は、約400万ヘクタールの農地が、全滅もしくは部分的に破壊され、被害全体の把握するには時期尚早だと話している。米作に依存する同国の経済に打撃をもたらすだろうと、専門家は指摘している。

 また、ネパールの山間地にある「パンのかご」と呼ばれる東部平野でも激しい洪水に見舞われた。ネパール政府高官によれば、今年後半にも食糧不足が懸念されているという。

 国際援助団体は、南アジア全体で食糧や医薬品など、数億円規模の援助が必要だとは話している。(c)AFP