【7月14日 AFP】洪水に見舞われた中国中部の湖南省(Hunan)では、ネズミ約20億匹が浸水した巣から移動、農作物への壊滅的な被害を及ぼしているほか、住民の健康に対しても懸念も浮上してきた。11日付の英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)が伝えた。

 ネズミの大移動は6月23日に始まった。洪水で同省の洞庭湖(Dongting Lake)の水位が上昇し、砂州にあった巣が浸水したため、新たなすみかを求め同省20県に散らばったネズミが穀物や植物の根を食い荒らしている。

 住民たちは、大規模な駆除作戦を展開し、ネズミをシャベルで叩き殺したり、大量の毒物を散布したりした。同紙によると、230万匹を駆除した地域もあるという。

 ある住民は「まるで戦争で敵軍に掃討されたようだ。後には何も残らない」と同紙に語った。

 同省の当局者は、今回の大移動について「ここ10年で洞庭湖の湖畔地域を襲った最悪のネズミ被害」だと語る。今のところ人体には大きな影響は出ていないが、同省では細心の注意を払っており、ネズミ駆除の際の衛生面における住民への教育や、地域の衛生状態管理に重点を置いた対策をとっているという。(c)AFP