【ラサ/中国 4日 AFP】チベット(Tibet)の巨大な氷河が溶ければ、世界的に大きな影響を及ぼすと懸念されるなか、ヒマラヤ地方にも地球温暖化の影響が及びつつある。

 地球温暖化がこのまま続けば、2050年までに世界で最も標高の高いヒマラヤ地方の氷河の3分の1が溶ける可能性があり、2090年には最大で2分の1が溶ける可能性があると専門家は警告している。

 チベットの中心都市ラサ(Lhasa)とエベレスト(Mount Everest)の間に位置する、ヒマラヤ地方の中でも最も気温の低いNojin Kangtsang氷河周辺でも、温暖化による影響が現れている。ヤムドク(Yamdrok-so)湖の水は、冬の間凍結している水が溶けると深いターコイズ色になるが、2007年は1月と2月の気温が高かったため、色の変化が早期に現れた。

 厚く雪が降り積もっているはずの時期に、周辺の山脈を覆う雪や氷の量はわずかだ。「地球温暖化による影響で、チベット高原では過去3年間で大きな変化が見られた」と気象局の専門家、Xu Liangyan氏は語った。気象局は最近、昨年2006年は、標高4000メートルより高い位置にあるチベットの観測所の3分の1で史上最高気温が記録され、1951年以来最も気温の高い年だったとの報告をしている。

 中国社会科学院(Chinese Academy of Social Sciences、CASS)でチベット高原の調査を担当する専門家Kang Shichang氏は、「氷河の融解が加速し、降雪線が後退しているのは明らかだ。それ以外でも、湿地が縮小し、貯水量が減っている」と述べた。また気象局のSong Yanling氏によると、チベット高原西部の冬季の気温は、平年比で2℃から4℃高くなっている。

 写真は2月27日、標高7191メートルのNojing Kangtsang氷河のふもとで、ヤクを飼育したり旅行のガイドブックを売るチベットの女性。(c)AFP/Peter PARKS