「レイプは私のせい」インドの現状を皮肉った動画が大ヒット
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【9月27日 AFP】昨年12月にインドの首都ニューデリー(New Delhi)で起きた女子学生への集団レイプ殺害事件に対する著名人らのコメントを皮肉った動画「It's your fault(あなたが悪い)」が、インターネット上で急速に広まっている。この動画は、インドのコメディアンたちによって制作された。
ボリウッド女優、カールキー・ケクラン(Kalki Koechlin)さんとテレビ番組司会者のジュヒ・パンデイ(Juhi Pandey)さんが出演する動画は、インドでのレイプ増加は女性側に責任があると説くことで逆接的にインドの現状を皮肉ったもの。
約4分間の動画は、「スカートをはいた女性がレイプを誘因することは科学的に証明されています。なぜかって?男性には目があるから」とのケクランさんの言葉で始まる。
続いて「挑発的」な服装の例が紹介されるが、なかには黒い衣装で全身を覆いつくすイスラム教徒女性のブルカや宇宙服まで含まれている。
昨年12月の事件後、インドの政治家や宗教指導者らは女性に対する暴力の原因をミニスカートから携帯電話、麺類にまで求めるコメントを発表している。
その一方で事件は、インド各地での抗議運動や女性の扱いに関する国民的議論を呼び起こした。
動画は、女性がレイプを引き起こすという「とてつもなく誤った考え」を変えようとインドのコメディアン4人が制作した。このうちの1人はAFPの取材に、こうした考え方の根本にはインド社会に「深く根差した家父長制に基づく偏見がある」と語る。「レイプ被害者となった女性を家族が勘当する例を、何度も目にしてきた。この問題に関する論議に肯定的に貢献したかった」
動画は、レイプ被害者に対し無神経とみられてきたインド警察にも厳しい目を向けている。
ムンバイでは先月、警察本部長が、公衆の面前でのキスを容認する「みだらな文化」か「道徳的な取り締まり」による安全な都市のどちらかを選ばなければならないと述べ、市民の怒りを買った。
動画でも、ケクランさんが「レイプでの辱めに疲れたなら警察に行くといいでしょう。代わりに侮辱してもらえます」と警察を皮肉っている。
動画は、カメラに向かって年齢も背景も様々な女性たちが「私が悪いんです」と語る場面で締めくくられる。(c)AFP