【9月24日 AFP】ベネズエラの首都カラカス(Caracas)発パリ(Paris)着のエールフランス(Air France)機に持ち込まれたスーツケースから、フランス史上最多の1.3トンものコカインが押収された事件に関連し、フランスとベネズエラの当局は23日までに、計9人の身柄を拘束した。

 マニュエル・バルス(Manuel Valls)仏内相は21日、末端価格で2億ユーロ(約267億円)相当の量のコカインが30個のスーツケースの中から見つかったと発表。翌22日にベネズエラ当局が、密輸に関与した疑いで保安当局者3人が逮捕されたと発表した後、フランス側も6人の身柄を拘束したことを認めた。

 ベネズエラのミゲル・ロドリゲス(Miguel Rodriguez)内相は22日の記者会見で、「手元の情報によると、(容疑者らは)英国人とイタリア人が組織しているマフィアの構成員で、南米で薬物を買い入れて欧州で売りさばいている」と述べた。また、エールフランス内に共犯者がいる可能性が極めて高いとも指摘した。

 同事件は少なくとも、エールフランスの保安検査過程に深刻な落ち度があることを露呈させた。同社は内部調査に乗り出しており、警察と緊密に連携を取っていると話している。

 複数の警察筋によると、フランス国内で拘束された6人はいずれもフランス国籍やエールフランス職員ではない。6人はイタリアを含む欧州2か国の出身で、密輸を首謀したのはイタリア・カラブリア(Calabria)州に拠点を置き、欧州内のコカイン取引の8割に関与しているとされるマフィア「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」の可能性が高いという。

 さらに警察筋の話では、このコカインがフランスに渡ったのは9月11日だったが、押収されたのは20日になってからだという。これは、捜査当局が引き取りに現れる人物を待っていたためとみられる。

 コカインの一部は空港で、また別の一部はルクセンブルクへ向かうトラックから押収されたとされ、これにより最終売却地がオランダまたは英国だったことがうかがえる。押収まで数週間に及んだこの大規模密輸事件の捜査には、英国・オランダ・スペインの警察も協力したという。(c)AFP