【9月18日 AFP】(一部更新)オーストリアの警察は18日、逮捕を逃れるために警官3人と救急隊員1人を射殺した密猟者の男の遺体を、男の自宅内で発見した、と発表した。男は長時間にわたって自宅に立てこもった末、家に火を付けていた。

 事件は16日夜、密猟者として知られていたアロイス・フーバー(Alois Huber)容疑者が違法な狩猟を行っているとの情報を得た警察の特殊部隊「コブラ(Cobra)」が、アンベルク(Annaberg)付近で車を運転していた同容疑者を止めようとしたことがきっかけで始まった。

 フーバー容疑者は路上のバリケードを車で突破し、特殊部隊に向け発砲。首に銃弾を受けた隊員1人が手当てを受け始めたが、それから1時間足らずの間に容疑者は再び発砲し、救急車を運転していた救急隊員が死亡、2人目の警官が負傷した。首に被弾した隊員も死亡した。

 容疑者はその後、車を乗り捨てて数キロにわたり逃走。その間に警官2人を撃ち、1人が現場で死亡した。

 死亡しなかった警官を人質に取った容疑者は、2人が乗っていた警察車両を奪い、約60キロ離れたメルク(Melk)近郊のグロースプリース(Grosspriel)にある自宅農家に向かった。警察の17日の発表によると、人質になっていた警官は、容疑者宅の納屋の中に止められていた警察車両の中で遺体となって発見された。

 約100人の警官が17日午前7時(日本時間同日午後2時)ごろから容疑者宅を包囲し、猟銃を持っていたフーバー容疑者は、警官隊に発砲を続けた。同日夜までには軍隊の戦車や、防弾チョッキを着た武装警官数百人が容疑者宅を包囲した。

 地元警察の18日未明の発表によると、警察がドアを開けようとしたところ、家の中から火の手が上がった。鎮火後フーバー容疑者の遺体が発見されたという。

■以前から警察に反抗的な態度

 死亡した警官3人は38~51歳だった。赤十字社(Red Cross)の救急隊員は70歳だったという。

 フーバー容疑者は、銃器数丁と大量の弾薬を合法的に所有していた。報道によると、所有する銃の中には、防護服を貫通することができる強力な猟銃もあった。

 狩猟はオーストリアで人気の娯楽。地元でフーバー容疑者は、警察や狩猟免許を持つハンターらに反抗的な態度を取ることで知られていた。死んだ動物の頭部を路上に置き去りにすることも多かったという。同容疑者は狩猟免許を数年前に取り消されていたとされている。(c)AFP