【9月12日 AFP】(一部更新)パプアニューギニアでトレッキング中のオーストラリア人とニュージーランド人の観光客グループが、盗賊とみられる男たちに襲われ、同行していたポーター2人がなたで惨殺される事件が起きた。被害に遭った観光客らが12日、首都ポートモレスビー(Port Moresby)で恐怖の体験をメディアに語った。

 観光客8人らの一行は10日夕方、ジャングルに囲まれた北部モロベ(Morobe)州にあるトレッキングコース「ブラック・キャット・トラック(Black Cat Track)」で、設営したテントの中で休んでいたところを槍やなた、ナイフなどで武装した6人の男たちに襲撃された。

 ポーター2人がなたで切り付けられて死亡。1人は、首がほとんど切り落とされた状態だったという。槍で脚を突かれるなどしてオーストラリア人4人を含む複数の負傷者が出ており、6人は重傷という。

 惨事を生き延びたニック・ベネット(Nick Bennet)さんが豪テレビ「チャンネル・ナイン(Channel Nine)」に語ったところによると、当時は雨が降り出したため、一行は三々五々テントの中で休んでいた。突然あたりが騒がしくなったが、「誰かが野生のカンガルーでも見つけたんだろうと思った」という。

「それから、何が起きているんだ?と思ってテントから頭を出したら、強い衝撃を(頭に)受けた。撃たれたんだと思った」とベネットさん。頭から血を流しながら上を見上げると、覆面をした男がすぐそこに立っており、銃の台尻で殴られたのだと分かったという。男たちがポーターたちに襲い掛かり、なたで切り刻むのをベネットさんは見ていた。「ぞっとする光景だった。(助かった)僕らは実に幸運だった」

 一方、同じく生き延びることができたピーター・スティーブンス(Peter Stevens)さんは豪AAP通信(Australian Associated Press)に対し、襲撃犯らは一行を地面に伏せさせ、荷物を漁ってパスポートから何から奪っていったと語った。男たちはブッシュナイフを手に襲いかかってきたが、うち2人は明らかに薬物の影響下にある状態だったという。

 パプアニューギニアからの報道によれば、襲撃グループのうち3人は脱獄犯とみられる。襲撃の目的は強盗だったとみられているが、トレッキング人気の高まりが地元社会には恩恵をもたらしていないことに反感が広がっていることも背景にあるのではないかとの報道もある。(c)AFP/Martin PARRY