【8月12日 AFP】フランス南部ペルピニャン(Perpignan)で約3週間前から行方の分からなくなっている母娘について地元の警察当局は9日、娘の父親の愛人だった女性も過去に行方不明になっていることから、2人が何かしらの事件に巻き込まれた可能性があるとの見解を示した。娘は地元で開催のミスコンテストに出場する予定だった。

 行方が分からなくなっているのは、娘のアリソン・ベニテス(Allison Benitez)さん(19)と母親のマリージョゼ(Marie-Josee Benitez)さん。アリソンさんの父親でマリージョゼさんの夫、フランシスコ・ベニテス(Francisco Benitez)さんの証言として警察が明らかにしたところによると、2人は7月14日、ペルピニャンの自宅からスーツケースを持って姿を消したという。フランシスコさんとマリージョゼさんの間では、離婚話が進んでいた。

 娘のアリソンさんは今月11日に行われたミス・フランス・コンテストの地元代表を選ぶ「ミス・ルシヨン(Miss Roussillon)」に出場することになっていた。

 2人が姿を消してから3週間が経った今月初め、所属する仏外国人部隊の兵舎で首をつって死んでいるフランシスコさんが見つかった。遺書には身の潔白を訴えるメッセージが書かれていた。

 2人について捜査を進めていくうちに、かつての愛人だったブラジル人女性シモーネ・デ・オリベイラ・アルベス(Simone de Oliveira Alves)さんが2004年にペルピニャン近くのニーム(Nimes)で行方不明となった事件に関連し、フランシスコさんが警察から事情聴取を受けていたことが判明した。シモーネさんの行方は、依然としてわからないままだ。

 シモーネさん失踪について、ニームの司法当局は「誘拐および不法監禁」の疑いで再び捜査本部を設置したことを明らかにした。アリソンさんとマリージョゼさんの失踪事件についても地元警察当局が捜査を進めているが、2人が生存している可能性は低いという。

 現在のところ、捜査当局は2つの失踪事件を公式に関連付けてはいないが、いずれも犯罪に巻き込まれた可能性が高いとみている。

 警察調書によると、アリソンさんとマリージョゼさんは近郊のトゥールーズ(Toulouse)に向かったとされているが、2人の携帯電話の電源は切られたままで、また口座から現金を引き出した形跡もない。

■二つの事件の共通点

 母娘失踪のケースと2004年11月29日の夜にシモーネさんがこつぜんと消えた時の状況とは酷似しているという。

 シモーネさんには4人の子供を残して姿を消す理由は何もなかった。ミスコンテストへの出場を心待ちにしていたアリソンさんもに同じく失踪する理由などない。そしてアリソンさんたちと同じように、シモーネさんも家を出るとの携帯メールを最後に行方が分からなくなっている。

 フランシスコさんは、湾岸諸国や旧ユーゴスラビア、アフリカなどでの駐屯任務を経て2004年にシモーネさんが住むニームでの勤務を開始した。この時すでに、マリージョゼさんとの仲は冷え込んでいたという。シモーネさんの知人によれば、シモーネさんは当初、フランシスコさんが既婚者であることを知らなかったが、既婚であることを知った直後に行方が分からなくなった。

 アリソンさんとマリージョゼさんが失踪したときと同様、シモーネさんの行方が分からなくなった時もフランシスコさんは直ちに警察に届け出ていない。フランシスコさんは警察の調べに対し、シモーネさんは言い争いをした後に家を出て、その後、別れを告げる携帯メールを送ってきたと述べていた。

 事捜査当局は現在、フランシスコさんの周辺、特にフランシスコさんが勤務していた仏軍駐屯地なども捜査しているという。(c)AFP