【7月23日 AFP】米カリフォルニア(California)州サンディエゴ(San Diego)市のボブ・フィルナー(Bob Filner)市長から性的嫌がらせを受けたとして元事務所職員が22日、提訴したと発表したことを受け、市長の辞任を求める声が高まっている。

 フィルナー市長は、同市長のセクハラ被害を受けた女性として初めて名乗りを上げた自分の元広報責任者、アイリーン・マコーマック・ジャクソン(Irene McCormack Jackson)さんによる訴訟の発表に落胆を表明した。市長はすでに謝罪を表明し、自分の態度を修正するために支援が必要なことを認めていた。

 女性の権利をめぐる注目の裁判を数多く担当してきたグロリア・アルレッド(Gloria Allred)弁護士によると、マコーマックさんは今年1月から市長事務所で働き始めたが、「職務を遂行するためには、市長から下劣で屈辱的な性的発言を浴びる『フィルナー・ヘッドロック(頭を腕で抱えて絞める行動)』に耐えなければならないことに、すぐ気付いた」という。

「またマコーマックさんは、フィルナー市長からパンティーをはかないで仕事をしろと言わたり、裸を見たいと言われたり、性的関係を持つのが待ち遠しいと告げられたり、求婚されることにも耐えなければならないことが仕事の一環であることを知った」と同弁護士は述べた。

 元記者でもあるマコーマックさんは「過去6か月は私の職歴の中で最悪の期間だった。フィルナー市長から、女性とは性的対象であったり、頭の悪いばかだとみなされる環境で働かねばならなかった」と述べている。

 提訴の発表を受け、フィルナー市長は「全力で自己弁護するつもりだ。正義が勝つ」と語った。

 フィルナー氏は昨年12月にサンディエゴ市長に就任。今年7月初旬にセクハラ疑惑が明るみに出たことを受けて11日、「自分の態度を変えねばならないことに気付いた」と声明を発表した。その中で「恥ずかしながら、女性たちに対する十全の敬意がなかったこと、そして時に彼女たちをおびえさせていたことを認めねばならない──私には助けが必要だ。自分の態度や接し方を変えるため、専門家と共に取り組み始めた。態度が変わらなければ、私は市を率いることができないだろう」などと述べている。

 しかし、アルレッド弁護士は「助けが必要」だと訴えるだけでは十分ではないと述べ、「女性を肉の塊として扱う」ことを止めなければならないとくぎを刺した。(c)AFP