【7月23日 AFP】サッカーU-20W杯トルコ大会(FIFA U-20 World Cup Turkey 2013)が開催された今月、イラク代表の準々決勝突破を同国の首都バグダッド(Baghdad)の自宅前で花火を打ち上げて祝おうとした13歳の少年が、何者かが撃った祝砲に当たり、負傷した。

 イラク代表が準々決勝で韓国代表を下すと、バグダッド市内では祝砲が響き渡ったが、喜び勇んで空中に発砲する人々がいた一方で、その犠牲となる人もいた。治安関係者や医療関係者によれば、試合終了後、こうした銃弾で少なくとも4人が死亡、21人前後が負傷した。2008年以降、武装集団による攻撃などで治安が悪化しているイラクだが、祝砲が別な危険を招いている。

 負傷したムクタダ君は小さな声で「花火をしようと外に出たら、後ろから(銃弾が)当たった」と当時の様子を語った。最初は花火が当たったと思い込んでいたが、すぐに事態が深刻なことに気付いたという。

 父親がAFPに語ったところによると、ムクタダ君は順調に回復し、歩けるようになっている。

 イラクのサード・マーン(Saad Maan)内務省報道官はAFPに対し、空に向かって銃を発砲した者は逮捕され、銃を押収される可能性があると述べた。ただイラクではこうした祝砲が、冠婚葬祭などでも依然として一般的に行われている。治安部隊がこうした祝砲を撃つこともある。

 火器などの検証に詳しい米国の法医学専門家ロナルド・スコット(Ronald Scott)氏によると、祝砲は通常、空に向かって撃たれる。すると銃弾が地上に落下する際には、残留速度が付いた状態で放物曲線を描いており、これが非常に危険だという。同氏は「銃弾が垂直に自由落下して来るのならば危険性は低いが、実際にそうしたことはまれで、空砲は死傷事故を招く確率が高い」と警告している。(c)AFP/W.G. Dunlop